二十四日目『死に行く命の代償として』

「Mr.リーフィア。最近の勇者たちはどうだ?」

「特に問題はありません。皆元気でよく成長しています」

「そうかそうか。では欠けることなく、皆楽しく過ごしているのだな」


 リーフィアはその言葉に返答はしなかった。いや、できなかった。返答しようにも、答えなど出るはずもない。それを悟ったか、それとも最初から知っていたかは別として、棺桶の中にいる何かはリーフィアへと言った。


「Mr.リーフィア。まさか、また勇者が死んだということはあるまいな。確かお主は前回勇者には関わるなと言っていたが、もし立て続けに死んでいるのなら、お前の処分を考えなければいけない」

「プリズン。貴様……」

「安心しろ。勇者には手を出さん。まあだが、Mr.リーフィア、いや、ドラキュス。お前には、もしかしたら死んでもらうかもな。まあ今日一日、様子でも見ておこうか。お前の行動次第で、これからが大きく変わる」

「解りました。では勇者を全力で護りましょう」


 Mr.リーフィアは部屋を飛び出し、足早に勇者寮へと向かった。

 素でに何かが起きていると察しているのか、それとも誰かが仕組んでいると確信しているのか、ただ一つ言えることは、彼は焦っている。


「り、リーフィア先生」


 暗い表情を浮かべた一人の勇者。

 彼女を見た瞬間、リーフィアは悟った。


「またか…………」


 リーフィアの脳裏にはかつての惨劇が甦る。

 脳裏が張り裂けるようなそんな苦しみや、胸が痛くなるような後悔。様々な思いを胸にしていた彼だからこそ、もうあの惨劇を繰り返すわけにはいかない。


「もうあんなは終わらせる」


 リーフィアは廊下を駆け抜け、死体がある場所へと到着した。

 そこには既に、ニャーマルとアリアンヌが死んでいる勇者へ弔いをし、遺体を片付けていた。


「おいお前ら。何をしている」

「先生。先生が来るのがあまりに遅いもので、一日で彼女の死因などについて調べていました」

「なぜだ。どうして私が来るまで待てなかった」

「俺も知りたいんですよ。この事件の犯人を」


 ニャーマルは何かを思い出したように、頭を抱え、しゃがみこんだ。


「ニャーマル。大丈夫か?」

「大丈夫だよアリアンヌ。それよりも先生、どうか、俺にもこの事件の犯人探しを手伝わせてください」

「…………」

「先生」


 リーフィアは悩んでいた。


(これ以上彼らを巻き込めば、恐らくいち早くニャーマルたちが殺される。かといって、恐らくこの事件の犯人は皆殺しにするつもりだ……)


「先生。俺じゃ信用できませんか?では俺の意見から述べさせてください。犯人を四人に絞りました。一人はフランケン、一人はレフィーネ、一人はドーベルマン、そして最後の一人は、」


 ニャーマルはリーフィアを見て言った。


「最後の一人は、あなたですよ。リーフィア先生」

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