第62話 頑張ってる子は応援したくなるもの
「っ」
「わ、びっくりしたー」
こちらにとんできたボールは、手にはじかれて、後ろへと飛んでいった。
「大丈夫、カイト?」
「……星那さんこそ、大丈夫でしたか?」
「え、あれ? ボール、カイトの手に当たったよねー?」
「俺の手が星那さんの手に当たっちゃったので……怪我してませんか?」
「大丈夫だって、ほらー!
手のひらをこちらに見せてくる。
ちょっと赤くなっている気もするけど、血が出ていたりはしないようだった。
「結局カイトがはじいてたし、余計なことしちゃったー?」
「まさか、ありがとうございます。助かりました」
「助けられてないけどー……これって、あれかなー? ほら、野球でホームランの時のボールってもらえるんだよねー?」
「さすがにもらえないと思いますけど、それより……初華さ-ん! ナイスアタックです!」
「あ、そうだね! ナイスアタックー!」
こちらを心配そうに見ていた初華さんに無事だと伝えるために声をかけると、安心したように息をついていた。
「勝ちましたね!」
「ねー! イエーイ!」
「はい」
左手でハイタッチ。
こういうのって応援してる人同士がやるものなんだろうか。
「んー?」
「あれが対戦表ですよね? 星那さん、見えますか?」
「えーっと、初華たちは……次は休憩みたい。会いにいこっかー」
「そうですね。そろそろ帰る時間なので、挨拶していきます。邪魔にならなければですけど」
「えー、もうそんな時間ー? もうちょっといればいいのにー!」
「あはは……ごめんなさい」
「まー、しょうがないよねー! じゃ、いこー!」
\\\
「海斗くん、さっきの大丈夫でしたか!?」
うちの高校が休憩している方に近づいていくと、初華さんが急いでこちらに来て、訊ねてきた。
「大丈夫です。星那さんが助けてくれましたし」
「すごいね! 二階まで飛んできたよー!」
「二人とも手は……」
「私は大丈夫だってー! ほらー」
「大丈夫ですよ」
初華さんは俺と星那さんの手のひらをじっくり見た後、ほっと息を吐いた。
「二人ともケガしてなくてよかった……」
「初華も心配しすぎだってー!」
星那さんは横から手を伸ばしてきたので突き指の心配があったけど、それもないようなので安心した。
「おめでとうございます」
「あ、そうだね、おめでとー!」
「あ、ありがとうございます……それより、あの!」
初華さんが耳に口元を寄せてきた。
「(は、配信! どうしたんですか!?)」
「(配信は午後からなので。それで、このあとすぐに帰ってしまうことになってしまうんですけど……ごめんなさい)」
「(い、いえいえ! 来ていただけでうれしかったです)」
「何の話ー?」
「なんでもないですよ。それじゃあ、初華さん、頑張ってくださいね」
「はい。ありがとうございます!」
「星那さんも、ごめんなさい」
「初華の応援は私に任せて! カイトの分まで頑張るからー!」
「はい。それじゃあ失礼します」
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