第4話 父との手合わせ

僕は、父から渡された木剣を構える。


「シード、自分の思う通りにやってみろ。」

と父ことファム=グラントが言う。


僕は、正眼で構えて腕を振り上げ右袈裟斬りを仕掛ける。それを何事もなかったかのように剣を当てて受け止められる。そのまま、バックステップで離れる。


「悪くは無い。次は受けてみろ。いくぞ。」

と言って、斬りかかってくるが、さすがに相当手加減してくれているのだろうが、同じように受けることは出来ず、剣が吹っ飛ばされてしまうだろう。


---神冥流 柔法 壱遍 流月


流れる水の如く。これがこの法術の特徴だ。相手の剣の勢いを手首や肘で吸収しながら受け流す技だ。


父は勢いが吸収されたことも驚いたのだろうが、避けると思っていたのだろう。

結果は、威力の吸収が完全にはできず、剣は吹っ飛ばされてしまったが、身体には何の問題も生じなかった。


「シード、大丈夫か、怪我はないか。」


「大丈夫だよ、父さん。」


「まさか、突っ込んでくるとは思いもよらなかった。こりゃ、大物になりそうだ。」


「そんなことないよ。」


「今日は、これ以上やって怪我してもいけない。もうやめておこう。」


僕は少し物足りなかったが、仕方ないと納得して、もらった木剣を持って家の中に戻った。


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