真神、重号案件
春嵐
01
どこぞの蛇のように、安穏とした生き方は好みではなかった。
就職先も、自分で選んでいる。もっとも過酷で、最も走る職務。それが、自分の仕事。
夜の街を。疾走する。普通に走ると諸々の許可や配慮が必要になるところだが、この職業なら、それも関係ない。
車道から。歩道。すぐに細い路地に入り込んで。さらに加速する。渾身の四駆。全身を巡る、血の流れ。
これを求めていた。この熱さ。この速さ。自分を表現できる、究極の速度。
『
うるさい。
インカムを引きちぎった。ここで逃がすより、さっさと尻に噛みついていたほうがいい。後の捜査も楽になるだろう。
相手の後ろ。見えてきている。ご丁寧に、のろのろと走っていた。あれでは、一般車程度だろう。
後続。パッシングのライト。
叫び声。右折野郎。
「俺じゃ追いつけない。頼んだぞ真神」
言われなくても。
疾駆する。
真夜中の環状。
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