1年と181日目「結局、土日で回復しなかったわ」
「結局、土日で回復しなかったわ」
紗奈がベッドの上でグデーンと伸びている。
なんだかそれすらも可愛く見えてしまうのだから不思議だ。
それすらも?
むしろそれが、なのかもしれない。
僕はどちらかと言うと、化粧をして着飾った姿よりも家でくつろぐ姿……例えばドテラ、チャンチャンコともいうが、ああいう格好の方が可愛くて仕方ない。
着飾っている姿が可愛くないという訳ではない。
超絶可愛いけれど、何というか好みの格好がどちらかと言えば素の姿の方が好きという比較の問題だ。
そんな訳で別にドテラとか着ているわけでもなく、普通にピンクの寝巻きなんだけどそれがまた可愛い。
「颯太ぁー、こっちー」
紗奈がベッドの自分の隣をポムポムと叩く。
無論、否やはない!
すぐにコロンと転がり、そのまま柔らかく温もりのある紗奈の身体を優しく、されど逃すまいとぎゅっと抱き締める。
「はれ?
もしや狼颯太?」
紗奈、すでに遅しだよ!
そうは言っても、無理矢理グイッとは行かない。
紗奈の顎に触れ、啄むように唇を唇で馴染ませ舌をそっと撫でるように舌で触れていく。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
口を少し離し、紗奈の口元を唇で優しく拭いてから、軽く指でさらに拭く。
ふぅ〜と吐いたお互いの息が少し混ざる。
「本当はね、音声化の短編コンテスト用に少し書こうかと思ってたんだけど……」
「思ってたんだけど?」
「もう、全く力が出ない。
土日にPVが思ったほど上がらなかったから、他の話も全く書く気がしないわ。
いつものようにもきゅもきゅを晒すことしか」
「今更ではあるけれど、晒さないようにね?」
紗奈フッと笑い、僕の唇に自らの唇を重ねる。
柔らかく艶かしく魅力的な唇だ。
「今更よ。
流石にもきゅもきゅを音声化されたら大惨事だから、書くとしてももきゅもきゅしてない状態の私たちの会話ね」
もきゅもきゅしてない時?
僕は首を傾げる。
僕らはかなり頻繁にもきゅもきゅしてしまっている。
「ほ、ほら!学校行ってる時とかリビングとか!」
「ああ!」
その間はかなり我慢してるね!
そう思いながら、ちゅっと紗奈の唇を奪う。
「そういうのを、んっ、集めて」
チュッチュと話しながら、お互いに唇を重ね合う。
その内、今は話し合うのが無駄だと気付いて、ただひたすらに口付けだけを繰り返すようになる。
このチュッチュと音がするのは、なんだかこう……。
「変な気分になる」
「うん」
変な気分とはまあ、そんな気分だ。
僕らは止めることなく、もきゅもきゅに加えてそれを続けた。
もきゅもきゅ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます