1年と107日目「イチャイチャが!イチャイチャが必要なのよ!」

「イチャイチャが!イチャイチャが必要なのよ!」


部屋に入ってくるなり、紗奈が拳を突き上げ、唐突にそう言った。


僕は椅子をくるりんと回転させて尋ねる。


「突然、どうした?」

突然なのはいつも通りと言えばそうなんだけど。


「これよ!」

紗奈はスタスタと僕に近づきスマホを見せようとして。


ぴたっと止まり、僕に覆いかぶさるように紗奈は口を重ねて来た。


「あんぐ……ムグムグ」

もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。


口を離す時にチュッとリップ音を出して、キスを僕の唇の落としてから。


「これよ」

そう言ってスマホの画面を見せてくれる。


いつものことながら唐突である。


「KAC20229、猫の手を借りる話?」

「借りた、よ」


残念でした、とでも言うようにまたちゅっと唇にキスを落としてくる。


うん、なんというか……。


「え〜っと、これが?」

「KACシリーズの女友達の話を書いてて、ようやくこの2人が付き合い出したのは良いんだけど、イチャイチャが足りないのよ。

イチャイチャ欠乏症よ!!」


「ああ、なるほど……」


僕は机の上を片付けて、椅子に座ったまま両手を広げる。


わーいと言わんばかりに、紗奈は僕に乗り。

そのまま口を重ねる。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっぎゅもっぎゅもっぎゅ……。


ツイ〜っと透明の橋が。


んでまた。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。


要するに紗奈がイチャイチャしたかったらしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る