1年と95日その2「メリーバットエンドって……」

「メリーバットエンドって……」


ひたすらもきゅもきゅ後、しばし……。


ベッドで一緒に転がっていると、紗奈が唇を重ねてきてから唐突にそう言った。


「メリーバットエンド?」

「そう、メリーバットエンド。

公爵の話が今の章でエンドになったら、メリーバットエンドになりそうだなぁと」


「メリーバットエンドってあれだよね?

監禁エンドとか、2人だけ残して世界が滅びたとか、その逆とかだよね?」


「そうそう、歪んでいるけど当人だけ幸せとか、当人達はいなくなったけど世界は平和? みたいな?」


最近、流行りだとか、メリバ好きが居るとか居ないとか。

ちなみに言うまでもなく、僕はハッピーエンド好きだ。


「颯太と2人っきりエンド。

邪魔するものは居ない……、ウフフ……」

「さ、紗奈?」

「ウフフ……ぞくぞくしてこない……?」


紗奈は妖艶に僕の上に乗りあがりチュッと唇を奪う。


「颯太と2人っきり……、あれ?

今と何も変わらない?」

「うん、そうだね。

父さんと義母さんのおかげで僕らはずっと同じ部屋に居るよ?」


紗奈は驚きに目を丸くして、その間にも僕の唇に何度もキスをしながら驚きの声をあげる。


「なんてことでしょう!?

もう私たちはメリーバットエンドの中にいたのね!?

颯太、んっく、これは、んっ、罠よ!」


もきゅもきゅもきゅもきゅ。


「うん、とりあえずバッドエンドではないよね?

こういうのをハッピーエンドと言うよ?」


紗奈はガガーンと口で言う。

いや、何もショックなことは無いと思うけど?


「これは大変よ!

とりあえずバッドエンドに向かわないようにイチャイチャするわよ!」

「もうしてるよね?」

もきゅもきゅ。

「もっとよ!」


もっと、て……ああ、そういうこと?


紗奈の目を見るとそうだと唇を重ねてくる。

もきゅもきゅ。


それならまあ……。

「頂きますということで」

「うん」

そうして僕らはまた口を重ねる。


もっきゅもっきゅ

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