183日目「完結ブーストってあるんだね。」

「完結ブーストってあるんだね。」


リビングのソファーで2人並んで座り、僕も紗奈もスマホでネット小説を読んでいたら、紗奈が唐突にそう言った。


「完結ブーストって、何?」

「私が勝手に名付けたけど、完結したらPVとか増える現象。

星はどうか分からないけど。」

「急に増えたのか?」


紗奈がスマホを見せてくる。

「急に増えた。

前に詐欺の話が魔王を討伐して、完結っぽい雰囲気が出た時も同じ現象が起きた。」

「そうなんだ?

でも前に完結したらカ◯ヨ◯では導線切れるって言ってなかった?」


紗奈はコテンと僕の肩に頭を乗せる。

「言ってたかな?言ってたかも。

不思議だなぁ〜と。

コンテストで選ばれたとか、ピックアップしてもらったりとかしないと増え辛いはずだけど。

嬉しいことだけどね。」


僕は紗奈の頭を撫でながら、紗奈のスマホのハートのマークを指差し尋ねる。

「前から気になってたけど、この♡の応援ってどういう意味?

読んでくれた人が見てるよーとか頑張れーとか言ってくれている意味だと思うけど、☆と何か違うの?」


「分かんない。

♡はそのページごとに付けれるけど、☆は作品全体に付けるものっていう違いかなぁ?

でもカ◯ヨ◯の日々のピックアップに選ばれるのは、☆が付いた作品だけって聞いたことある。

本当かどうかはわからないのよねぇ〜、カ◯ヨ◯の公式でも見当たらないし。」


「モチベーション変わる?」

「んー、変わるかなぁ、変わるかも。1番嬉しいのはコメントだけど、どれでも読んでくれているのが分かれば嬉しいわね。」


僕は書き手じゃないから、良く分からないがそうなんだなぁ。

「そう言えばカ◯ヨ◯のエッセイを見てて思ったけど、やっぱり人によって好みってはっきり分かれるなぁと思ったわ。」

「どういうこと?」

「んー、単純に前に言ってたランキングに入ってても趣味が合う合わないって話。

やっぱり人気がある作品はある作品なりに好きな人も多いんだなって。」


あ〜、なるほど。

「そりゃあ、好みだからね。

実際、文体のテクニックが上手い人やすっごく良い作品でもランキングに入らないことも多いけど、人気があるのはあるなりの理由があるからね。」


「そうね。

そういえば、最近ようやく気付いたの。

ラブコメで読みたいなぁと思う話がないのは、見つけたらすぐ読み切ってしまうからだったわ。」

「、、、とっても簡単な理由だったね。」


そんな風に話しをしていると紗奈はちょっと眠そうにとろ〜んとした目をする。

なので僕は紗奈の手を優しく引き、一緒に部屋へと帰ることにした。


彼女をベッドに横たえさせて、口を重ねる。

もきゅもきゅ。

「おやすみ、颯太ぁ〜。」

「おやすみ、紗奈。」

電気を消し、僕もベッドに入る。


お休み。

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