この雨のせいにして

朝から冷たい雨が降っている

やらなければならないことは

わかっているのに

わたしはダラダラと後回しにしている

ここまで、と言い訳しながら

本を読む

あと少し、と言い訳しながら

次の頁をめくる


雨が降っているから

今日は洗濯はしない

掃除も明日にしよう

腰は相変わらずで

痛みが気持ちを

余計に沈ませる

ああ、でも

全部言い訳


この冷たい雨のせいにして

わたしは動かない

やらなければならないことは

わかっているのに

まるで重力が倍になったみたいに

身体も心もどうにも動けない

厚手の靴下を履いても

爪先が凍りそうで


やらなければならないことは

どうしたってやらないといけなくて

そんなことは

嫌という程、知っているけれど

もう少しだけ

この雨のせいにして

本の世界に逃げ込んでいたい

こんなに冷たい雨だから


雨は激しくなってきた

もうこんな時間

本を閉じなくては

本を閉じなくては


現実に戻らなくては


雨のせいにばかりしないで

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