【詩集】黄昏月幻想

つきの

黄昏月幻想

昼でも夜でもない時間

不思議な狭間に浮かぶのは

静かに佇むような月


黄昏時の帰り道

サティの「ジムノペディ」を

イヤホンで聴きながら歩いている


追い越して行く人の後ろ姿に

懐かしいひとを重ねて

追いかけそうになって立ち止まる


いるはずのないひとなのに

想い出に囚われて立ち尽くす

至極色しごくいろの空に月


イヤホンが耳から外れて

「ジムノペディ」が微かに流れ出す

夜がそこまで来ている


束の間の黄昏時が過ぎていく


夜はそこまで来ている

「ジムノペディ」は流れ続けている

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