第2話

「あんまり、夢見がよくなかった」


 左隣。彼が話しかけてくるから、自分の今日が始まる。


「そうか。どんな夢か、聞いてもいいか?」


「ああ」


 空が落ちてくる夢について、喋った。


「そうか。空が落ちるか」


 真面目に考えている。


「まともに取るなよ。そんな、たいしたことじゃない」


「でも、空が落ちてきたらさ。俺たちはどうなるんだろうな」


「どうにもならんよ」


 そもそも、空は実体じゃない。概念のようなものだった。雲を掴めるわけでもない。


「雲をつかむような話だな」


「いま、同じこと思ったよ」


「そうか」


 いつもの通学路。ふたりで、ゆっくり歩く。

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