名探偵、明智琴音はあきらめない! ~神楽坂さんと消えた教科書の謎~
友理 潤
第1話
クラスメイトである
放課後にホームルームが開かれ、真相を突き止めることになったのだが、あろうことか、被害者の塩屋さんが「自分で失くしました」と告白したのである。
「
私、
「っつーか、本人が『失くした』って認めてるんだし、この話題もう終わりっしょ。早く家に帰って宿題したいんですけどぉ」
ねちっこい声をあげたのは
キツネのような鋭い目つきの彼女に目をつけられて、
でも彼女の父親は市議会議員で、町の有力者だ。だから何かされても、泣き寝入りする人が
今回の件だって、私の親友のモエッチこと
「そもそもぉ。誰かが
「今はない!」
「はぁ? もしかして『直感』で言ってるのぉ」
彼女の言う通り。直感だ。でも私はそれを信じてる。
何を隠そう、私は名探偵の
『
だから直感には自信がある。
それに今にも泣きだしそうな顔でうつむいてる塩屋さんを見れば、その直感は正しいと言っているようなものだもの!
次に歴史の授業があるのは3日後。それまでに事件を解決して、教科書を塩屋さんの手元へ返してみせる!!
「ははは! 黙ってるってことは、マジ直感なんだぁ! マジウケル! 明智さんってマジ頑固だよねぇ」
やたら「マジ」を連発しながら大笑いする神楽坂さん。彼女の取り巻きである、
一方の私は黙ったまま、彼女を
そんな私たちの間に入ったのは、担任の
「もういい。やめなさい」
柔らかだけど、有無を言わさぬ芯の通った声。教室がシンと静まる。
よく日に焼けた
「本人が『失くした』と言ってるからには、それを信じるのが筋だろう」
「でもっ……!」
食ってかかろうとする私を先生が片手をあげて制する。
「ただ、もし塩屋の教科書を盗んだ者がいるとすれば、断じて許されないことだ」
先生の雰囲気がガラリと変わり、まるで凍りつくように冷たい声色だ。
神楽坂さんは顔を青くしてゴクリと唾を飲みこんだが、すぐに余裕の笑みを浮かべた。
「もしそんな卑怯なヤツがいるなら、今のうちに名乗りでた方がいいわよ! さあ、どうなの!?」
その呼び掛けに答える人などいるはずもなく、神楽坂さんは「ほらぁ」と勝ち誇ったように満面の笑みを浮かべている。
なんて白々しいのかしら!
ぎりりと歯ぎしりをしながら彼女を睨み付ける私の背中に、大森先生の低い声が突き刺さった。
「明智」
「ひゃいっ!」
不意をつかれて声が裏返ってしまった私に、先生は穏やかな口調で告げたのだった。
「もし塩屋の教科書が誰かに盗られたと考えているなら、
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