シーズンⅡ 第7話 イケメンホストクラブ”ヒーローズ”へようこそ!

⓪ イギリス文学地方にきています

 パレ駅から列車に乗って、イギリス文学地方“リトル・プリンセス”の駅で下車。

 石畳の路地と白亜の建物、そして輝く明かりがともる夜の街は、おしゃれした人たちでにぎわっていた。

 イギリスらしいドレスやタキシードの人たちがほとんどだけど、奥へと進むにつれて、紳士服を着崩した人たちの姿もちらほらと目立ち始めて。

「たしか、こっちでいいと思うんだけど」

「あ、あれじゃない?」

 ももちゃんが指さす先には、黒い建物に紫のバラでかざられた金のドアがついた、いかにもな入り口が――。

 すぐ上で金色に光っている文字は“ホストクラブ ヒーローズ”。

 本の中のイケメンたちが、女性のお客さんをおもてなしするお店だ。

 そのぎらぎらした感じを見た途端、不安がまして、わたしは前を歩く親友二人の袖をひいた。

「ねぇ、やっぱり帰ろうよ」

「なに言ってんの。ここまできたんだから、思いっきり遊ばなきゃ」

「でも――」

「夢だって、王子の過保護に反発したいんでしょ?」

 うう、そう言われると。

「夢っち、ここは腹をくくりましょう。なんとしてでも、カレへの復讐を果たすのよ」

 せいらちゃんまで、なんかやけになってない?

 わたしはしかたなく、二人に続いて、バラで飾られたエントランスをくぐった。

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