第220話 命の危険を感じちゃうハニーくんwww
「なら私、週明けから学校を休んで働きますね」
当事者とも言える美稲が口を開いて、みんの注目が集まった。
「だって簡単な話じゃないですか。国際法を無視したら外国在住の日本人がいじめられる。なら、国際法を守ればいいんです。だから、正式に採択されるまでの間に、どれだけ多くの資源を生成できるか、時間との勝負ですね」
腕まくりでもするように肘を曲げる美稲は、肝っ玉母さんを思わせるように凛々しくて、頼もしかった。
「なら、俺も休むよ。生成した金属、倉庫にテレポートしなきゃだろ?」
「奥井ハニー育雄、今、テレポートの射程はどれぐらいだ?」
「3000キロメートルくらいです」
「先月よりも随分伸びたな。よし、どのみちもう東日本の倉庫はほぼ飽和状態だ。今日からは北海道と西日本の倉庫にも搬入していくぞ」
「付き合わせちゃってごめんね。ハニー君」
「気にするなよ」
「ハニーが行くならボクも」
「桐葉は学校に行けよ」
腕を抱き寄せてくる桐葉に、俺はちょっと厳しく対応した。
「えー、ハニーと一緒がいいなー」
桐葉は食い下がるも、俺も譲らない。
「前から早百合大臣が言っているだろ。高校生活は一生に一度しかないんだ。たまには俺抜きの学校も体験してみろよ。それに桐葉がいないと麻弥が寂しがるぞ。詩冴が寂しがるのはいいけど麻弥は寂しがらせちゃ駄目だろ?」
「それはそうだけど」
「なんかシサエの扱いが雑っす!」
「勘違いするなよ。俺だって桐葉のこと大好きで一緒にいたいんだから、放課後はその分いっぱい一緒にいるから我慢してくれよ」
シサエは嫁じゃないんすか、と迫って来る詩冴のおでこを手で押さえながら、俺は桐葉を説得した。
桐葉は不機嫌そうな目を作るも、美稲を一瞥するや否や、コロリと笑顔に作り直した。
「いいよ。じゃあ週明けからはしばらく学校で麻弥たちと遊ぶから。その代わり、その間は一緒に寝る事。なら許してあげる」
「ちょっ、それは法外じゃないか!?」
「いやならいいよ。無理やりハニーに付いて行っちゃうから。どうする?」
にひひ、と口角を吊り上げて悪い笑みを作る桐葉に、俺は葛藤した。
――ぐっ、桐葉のために学校へ行かせたいのになんで俺がそんな犠牲を。いや、ある意味ご褒美だけど、起き抜けに桐葉ともかく夜寝る段階で桐葉が隣にいたら俺も自分を抑えられないと言うか。
そこへ、下半身で疼く邪心が俺に囁きかけてきた。
お前は、桐葉に失った学園生活を取り戻して欲しいんじゃなかったのか?
その通りだ。
いままで、ハチの能力を原因に虐められていた桐葉には、普通の学園生活を送って欲しい。
お前が我慢すれば、桐葉に失った学園生活を取り戻してあげられるんだ。なら、我慢すればいいじゃないか。
これが、甘い悪魔の誘惑であることはわかっている。
桐葉のためだと言い訳をして、毎晩桐葉とのベッドインをすれば、取り返しのつかないことになるのは明白だ。
だから、理性的な文明人ならばここで断固たる決意を以って桐葉の提案を断らなければならない。
そんな俺の清廉潔白な決意に呼応したのか、心の中に清らかな声が響いた。
貴方が本当に桐葉を大事に思うなら、彼女とベッドインした上で手を出さなければいいだけです。これは成長のチャンスなのです。
ですよねぇ。
「しょ、しょうがないなぁ、じゃあ月曜日の夜から一緒に寝ようか?」
「やった、約束だよ、ハニー♪」
最愛の笑顔を残して、桐葉は麻弥に駆け寄った。
「麻弥、月曜からボクがいっぱいぽよぽよしてあげるからね」
言いながら、麻弥のほっぺをぽよぽよし始めた。麻弥も嬉しそうに見える。
手持無沙汰な真理愛は、麻弥の頭をなでまわし始めた。
「早く麻弥さんも一緒に暮らせるといいですね」
「いまパパに頼んでいるのです」
――そういえば、日本刀を買ったって、どんな父親なんだろう。
宮本武蔵のような猛将然としたおっさんが、刀で襲い掛かって来る姿を想像して、俺は震えた。
「そういえば昨日、パパが猟銃を買ったのです」
――狙われている!?
まだ見ぬ麻弥パパからの殺気に、俺は戦慄した。
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次回以降は、
第221話 美稲との時間
第222話 美稲の魅力
第223話 ATM土下座国家
の予定です。
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本作、【スクール下克上 ボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました】を読んでくれてありがとうございます。
みなさんのおかげで
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達成です。重ねてありがとうございます。
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