第31話やらかすのは大体同じ奴

とりあえず冒険者になるために受付に行くとアンさんがいた。


…速い。


「ジーンさん、どうなされますか?」

「冒険者だ。これでも調薬師に向いている」

「なるほど、そちらの方向でやるんですね。分かりました。お嬢さん、改めましてアンと申します。大体ジーンさん関係は私が担当しているので何でもお聞き下さいね。説明させて頂きますと、ランクはS〜Fまでありまして、」

「あ、すみません。そこら辺は他の方に教えてもらいました」

「…。では、仕事の受付の方を、」

「俺が教えるからいい」

「…。幼女と喋らせて下さいよ!」

「うるさい。さっさと冒険者証を渡せ」

「ぐぬぬぬ!…こほん、ではこちらに血を一滴たらしてもらうことになりますが、大丈夫ですか?」


心配そうに私を見るが、少し頬が染まっている。

心配と可愛いと思うのが混じるとこうなるのか。

残念な人だなぁ。

そう思いつつ、私は精神は大人だから全然平気だと、バッと手を出した。


「大丈夫です。思いっきりやっちゃって下さい!」

「ちょ、ちょっとチクッとするだけですからね?」


それ返って注射を思い出して嫌なんだけど。

注射されるの好きな人っているのかな?

なんて思ってる間に指にチクリと感じた。

ちょっとビクついたけど、これでOKらしい。


「良く頑張ったな」


そうジーンに頭を撫でられた。

うう…、刷り込みめ。

なでなで嬉しいじゃないかー。

猫のように喉を鳴らせたら、きっとゴロゴロ言ってる私に、羨ましそうに冒険者証を渡してくるアンさん。

アンさんはなんとなく目が怖いので撫でられられるのはちょっと拒否したい。


「これで貴女も冒険者です。無理せず頑張って下さいね。無理はジーンさんに押し付けて下さい」

「まぁ、その通りなんだが口に出して言われると微妙だな」


こうして私は冒険者になったらしい。

一応ステータスも見れるらしく、ちょっとドキドキしながら見てみた。


…ん?



『ヒヨリ 女 5歳


スキル

採取 調薬 歌唱』



あれー?

私、スキルは先生しかないはずなのになんか3つもある。

しかも最後の歌唱って何?


『採取及び調薬はヒヨリの行動により新たに発現したスキルです。歌唱は種族による特殊スキルです』


へ?

新しくスキルって覚えられるの!?

しかも特殊スキルって何!?

神様、説明しといてよ!


『運命の神によるサプライズだそうです。因みに知識の神は知らなかったようです』


なにがサプライズだ、あんちくしょう!

あーもー、碌なことしないなあの神は!


『歌唱は歌う曲により効果が違うバフ、デバフだそうです。獣族の鳥系の特殊スキルですが、ヒヨリはまだヒヨコですので効果は半減されているようです』


意外と使えるのに歌わなきゃいけないってとこが恥ずかしい。

しかもこっちの世界の歌とか知らないし。

歌ならなんでもいいのかな?

アニソンとか。


『大丈夫です』


マジか。

でも恥ずかしいからいざという時だけにしとこう。

採取と調薬は普通にありがたい。


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