第18話初めての街

「遠いねー」

「いや、大人の足なら半日程度だ。俺達は寄り道もしているから仕方ないだろう」


ジーンは言わなかったけとま、私の歩調に合わせてくれたから遅くなったんだ。

そう思うと少し悪く思った。


「ごめんね、私の足が遅いから」

「何言っているんだ。ヒヨリは文句も言わず頑張って1人で歩いてるだろう?凄いじゃないか。それにのんびり急がずに寄り道しながら歩く。俺は楽しかったが、ヒヨリは?」

「…楽しかった」

「ならいいだろう?街だって逃げやしないんだから、1日やそこらで気にすることはない」


多分無意識だったのだろう。

ジーンは私の頭を撫でたが、嫌悪感はなかった。

これはジーンだからなのか分からないけど、一歩進めた気がする。


夜寝るのはあまり好きではない。

何度も奴らの夢を見るから。

でも、チラリと隣を見る。

…多分今日はきっと奴らが倒される夢を見る気がする。


そして朝から何時間か歩いて、やっと街に着いた。

大きな街と門番に驚きつつ、ジーンの背に隠れた。


「ヒヨリ、悪いがこの布を被ってくれ」


ソレはただの布で、私に被さると引き摺る程度。


「うっ、やはりでかいか。しかしあまり顔を出さない方がいいんだが」

「大丈夫よ。ちょっとフード部分を大きめにして結べば引き摺らないわ。あとはフードを押さえてジーンと手を繋いでいれば完璧よ!」


布を首元でキュッとリボンにして笑えば、ジーンも苦笑しながら頷いてくれた。

ジーンの方もフードを被り、怪しい2人組の完成。

門番にも怪しまれたけど、ジーンが何かのカードを見せると驚いていきなり頭を下げた。

その顔は恐れがあり、何だか複雑な気分になった。

よく分からないけど、とりあえずそのまま街に入れたけど、人の多さに驚いた。

ジーンが言ってた通り、ちょこちょこ獣族を見たのにはホッとした。


色々な果物だとかお肉とかを目にしていたら、ジーンが何か買っていくか聞いてくれたけど、とりあえず今日は休みたいと伝えた。

まずは宿を探して一部屋借りた。

男女で一部屋ってとも思ったけど、今私は幼女でしたね。

幼女に一部屋の方が怪しまれるわ。


今日は宿屋でご飯を食べたんだけど、あんまり美味しくなかった。

せっかくお肉が入ってたのに。

…あれ?

ひょっとしてこの世界ってメシマズな世界なの?


「やはり適当に選ぶのはダメだな。悪かった。明日は美味いレストランにでも行くか」


あ、メシマズな世界ではなかったらしい。

良かった。


「あと、服を買おう。せめてフードだな。その格好はその、可愛いが目立つからな」

「あ、だよね。私もそう思ってたの」


神様のセンスはいいかもしれないけど、狙われる事を考えて欲しかった。

でも仕方ないよね。

あの駄犬に期待する方が馬鹿だもの。

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