恋に仕事に全力投球

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というわけで、晴れて恋人の練習から樹くんの彼女に昇格した訳なのですが。


彼女かぁ。


生まれて初めて彼氏という存在ができたことが嬉しすぎて、気を抜くとすぐに顔がにやけてしまう。


─俺は姫乃さんが好きだから。


何度も頭の中で反芻しては緩む頬。

慌てて両手で頬をつねった。


痛い。

やっぱり夢ではないみたい。

練習とか言ってたことが遠い昔のように感じてしまう。


ということは、もう練習じゃなくて本番ってことになるよね。

本番…?

それはそれでどうしたらいいかわからない。

うんうんと悩んだ末でてきた答えは“とりあえずデートかな?”だった。


いつも通りの夕食時、私は意を決して切り出した。


「樹くんデートしよう!」


「いいですよ。どこか行きたいとこあります?」


「行きたいところ?」


行きたいところは考えていなかった。

我ながら見切り発車だったなと軽く反省する。


デートといえば樹くん何て言ってたっけ?

私は前に樹くんとした会話を必死に思い出す。

あ、そうだそうだデートと言えばここ。


「えっとー、水族館か遊園地!」


ドヤ顔の私に、樹くんはポカンとした顔をした。

あれ?何か間違ったかな?

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