会社の後輩に甘やかされています

あさの紅茶

悩み多き日々

01

わいわいと賑やかで美味しい香りが漂う和風居酒屋で、我がIT管理課インフラグループの歓送迎会が行われた。


グループ長だった早田さんがIT管理課長に昇進してグループを出ていくのだ。それと入れ違いに、入社二年目の大野樹おおのいつきくんがインフラグループに入ることになった。といっても大野くんは半年前から先に異動してきていて、その時はバタバタして歓迎会が出来ていなかったので、このタイミングで一緒に歓送迎会になったというわけだ。


インフラグループはヘルプデスクの業務も兼ねているため、他の部署より派遣の女性が多い。それゆえ、こういった飲み会の席では女性同士固まって座ることが多くなる。


その中でもとりわけ仲の良い、ベテランパート社員の祥子しょうこさんと、若くてフレッシュな派遣社員の真希まきちゃん、そしてインフラグループ唯一の女性社員であるアラサー独身彼氏なしの私、朱宮姫乃しゅみやひめのがおしゃべりに花を咲かせていた。


女性が集まると主賓そっちのけでとたんに女子会のノリになる。


「あ~早田グループ長がいなくなるなんてショックです。」


「そう?まあ、なかなか良いグループ長だったけどねぇ。」


「癒しがなくなりますよぉ。」


真希ちゃんはしょんぼりと項垂れ、祥子さんはビールを煽りながらガハハと笑った。


早田グループ長は女性の間では“イケメンエリート”と称されていてなかなか人気が高い。高身長、高学歴、高収入とはよく言ったもので、プラス容姿端麗ときたらそれはもう人気が出るのがわかる。他の女性たちからも、それぞれに嘆き節が聞こえていた。


そんな彼女たちの話を聞きながら、私は一人黙々とサラダを取り分け、注文したドリンクを配っていた。

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