第6話 「変態……」
「あ〜……バランスか」
おれの解説がひと段落つくと菜々は自己を省みて、うさ耳にエプロンをそっと外し、魔法少女ステッキも床に置く。
「じゃあこれだと良いわけ?」
そう言った彼女の今の様相はスクール水着(ゼッケン有り)だけを身に纏っており、口調もいつも通り。そして家の中という状況も相まって中々に萌える。
「ああ、さっきよりは大分萌える」
「おっ、欲jy……」
「してないから」
その点欲情だけは食い気味に否定する。だって今の菜々の様子を見て、そんな気持ちを抱く可能性は皆無に等しいから。
「ええ〜、何でよ。今の状態ならちゃんと萌え要素? ってのも一つだけに絞ったじゃない」
「確かに、家の中という背徳感も相まってのスクール水着ってのは中々にポイントが高い。持ち前のポニーテールに貧ny……」
「ん?」
「平らな……」
「んん?」
ほっぺたに優しくめり込む拳の圧がすごい。
「………………自己主張の少ないささやかなサイズもそういうキャラとしては有りだと思う」
「変態……」
「言うな。自分でも分かってる。けれど、けれども総評するなら60点ってとこなんだよ」
「はぁ〜〜〜、今度は何がダメなの〜?」
もう飽きたとばかりに欠伸をしながら足裏を合わせ、ソファに寄りかかってのんびりする体勢に入っている。
「その緩みきった態度……」
「え、何〜?」
「もうちょっと乙女らしい恥じらいを持ってくれ……」
「あー、そーいえばそういうのも大事みたいだね〜」
一体どこの世界に、仮にも告白した男の家でスクール水着になっても普段通りに振る舞える女子がいるというのか?
いたよ、目の前に。
「オタクは……というか世の中の男は自分にしか見せない一面にグッと来るんだよ。仮にこの二人しかいない状況で普段サバサバしてるお前が恥じらってみろ。それだけでビックバン並みの破壊力になるぞ」
「え〜〜〜、でもこのゆるゆるな態度も奏人にしか見せてない態度だよ? これじゃダメなの?」
「それは違うんだよ。熟年、て言うか熟れきった妙な安心感の方が強いんだよ…」
「枯れた老夫婦ってことか〜」
「もう干からびる寸前だな」
スクール水着のまま、ぐで〜っと力の抜けた菜々を前に、おれも萌えについて力説するのが段々とバカらしくなってきた。
おれもソファに腰掛けてリモコンを手にテレビを点ける。
「はぁ……婆さんや、気の抜けてるところ悪いがもう一つだけいいかの?」
「何だ〜い、爺さんや」
「そもそも萌えと欲情は別物だからな?そこだけでもちゃんと認識しとこうな?」
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