密やかに【晩餐会】

 城の広間から聞こえる歓談のざわめき。

 晩餐会は宴もたけなわだ。

 その気配を感じながら中庭の陰で逢瀬を交わす二人。

「王子。こう長く席を離れるのは如何いかがかと」

「お飾り王子の婚約発表だ。主役が消えても構いはしないさ」

「そんなこと」

「私はお前を愛でられたらそれでいい」

 そう言って男の髪を撫でた。

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