【水平線】の向こうを想う
ある昼下り。インドゾウの頭に飛んできた小鳥が尋ねる。
「君の故郷は水平線のずっと向こうなんだってね。帰りたくならない?」
「子象の時に離れた故郷のことなんて忘れたよ。この陽のあたる退屈な象舎が私の居場所さ。ただひとつ記憶にあるのは、沙羅の花の色と匂いのみ」
ゾウはゆっくりと目を閉じる。
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