第57話 この上なくタチの悪い質問
ゴールデンウィークも、ついに今日が最終日。
温泉旅行から帰ったお母さんたちに貰ったお土産のお菓子を彩愛先輩と一緒に食べたりして、特に目立った出来事も起きないまま夜を迎えた。
ベッドに横たわって布団を被るや否や、彩愛先輩がおもむろに私の胸を鷲掴みにする。
「寝る前に歌恋のおっぱいを揉むと、巨乳になった夢が見れるのよね」
「へー」
あんまり興味がなかったので、つい気の抜けた返事をしてしまう。
「それになにより、触り心地が抜群だからいい気分で眠りに就けるのよ」
「そ、そうですか」
少し褒められたぐらいでたまらなく嬉しいと感じてしまうのだから、我ながらチョロい。
「――んっ❤」
不規則に動く彩愛先輩の指先が、偶然にも胸の先端を捉える。
衣服越しとはいえ敏感な部分をピンポイントで刺激され、思わず変な声を出してしまった。
私は慌てて自分の口を手で塞ぎ、何事もなかったかのように沈黙する。
「無理して我慢せずに、もっと気持ちよくなっていいのよ?」
意図して指を動かしたわけじゃないだろうに、彩愛先輩は余裕たっぷりな口調で告げた。
気持ちよかったのは事実だけど、なんとなくプライドが邪魔をする。
「べ、別に我慢してないです」
もちろん嘘だ。やせ我慢しているに過ぎない。
こうしている間も優しい手付きで胸を揉まれ続け、体は私の意思を無視して正直な反応を示している。
「そんなこと言って、直接触ったらすぐに――ふふっ、やっぱり」
パジャマどころか下着の内側にまで手を突っ込んで乳房全体を撫でるように触った彩愛先輩は、敏感な突起物に触れると同時に意地悪な笑みをこぼした。
私にとっては自分の体なので、見たり触ったりしなくても分かる。
言い逃れをする余地もなく、せめてもの抵抗として無言を貫く。
「胸のサイズが違うから当然と言えば当然だけど、ここもあたしのより大きいわよね」
そんなことを言いもって、彩愛先輩は指先で先端部分をくにくにと弄ぶ。
「んっ、ふぁう……も、もう、やめてください」
「歌恋が嫌ならやめるけど、本当にやめてほしいの?」
これほどまでにタチの悪い質問が他にあるだろうか。
彩愛先輩は指の腹を突起の先端に添えたままピタリと動きを止め、私の返答を待っている。
「や……やめないで、ください。もっと、してほしいです」
長らく彩愛先輩をライバル視してきたけど、もしかすると私は、根本的な部分で彼女に勝てないのかもしれない。
「ふふっ。お望み通り、たくさんかわいがってあげるわ」
この後、明け方までたくさんかわいがってもらった。
寝坊して学校に遅刻したのは言うまでもない。
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