ジャンプ!(1)
『今年1月の通常国会にて賛成多数で可決成立した、自然災害対策法案と宇宙開発改正案について政府与党は、日本を取り巻く安全保障の環境が激変しているとして、政策上の観点から法案の必要性を長年
「そっかあ、自衛隊に入れば宇宙に行けるかも知れないんだな……」
ウチのパパは、また朝からくだらないことを
もっとも、そんなことなんて今の私からすればどこ吹く風だわ。昨日の出来事に比べたら……。
『その現象はシンクロニシティだと、ツバキは言っていた』
「なにそれ?」
『そうだな……君のスニーカーの
「なんか不吉だね」
『これに
「あるでしょ」
『だとしたらそれは、それが起こる事で意味を成している』
「少し理解」
『ならばもう少し。例えば君の前世の前の前の前のずっと前の前世と、君の親友の前世のずっと前の前世が同一人物だったら、今君たちが共鳴するのは必然だと思うか?』
「うん!思う!」
『それもシンクロニシティの
「わりと理解」
『古来より占いという術はそのあたりが関係しているという説や、UFOとの
「おばあちゃん、すごいなぁ」
『その通りだ』
「ところでアレなんですけど」
『どうかしたのかな』
「まだ理解し切れてない私って
『鈍いのか?』
「いや知らんがな」
『何かスッキリしないということか?』
「う、うんそうだけど……パスポートとチケットがあるからって、本物じゃないんだから空港の国際線から旅立てるワケじゃないんでしょ?」
『当たり前だろう』
「じゃあ、どこに行ける権利があるわけ?」
『そんなことまで言わなくてはならないとは……』
「悪かったなー」
『君に、巻き戻し機能はないのか?』
「人を“動画再生機能”みたいに言わないでよ」
『私を喋らせる前、君は立派に自分の目的を述べていたではないか』
「私は……樹の守り神たちという本を探している」
『パスポートやチケットがあっても、地図がないだろう』
「地図?」
『それは君のすべき事を示し教え導く、地図だ』
「あの本が私のすべき事を?そんな、どうやって……。まず地図がどこにあるのか分からないんじゃ、そもそも宝の地図がいるじゃん」
『そのために私が存在している』
「ウソくせー」
『信じるか信じないかは』
「はいはい、分かったよ。んで?どうすればいいわけ?」
『私を手に持つんだ』
「イヤ」
『……』
「わかったよ、はいはい」
私は、いつも本棚の隅にブックエンドとして挟まれている守護神像を手に持ってアイテムの場所へ戻る。
『そうしたら、ゴリラの
「はぁ?!」
『先ほど、そう指摘されていたぞ』
「ママに?」
『そうだろう』
「それ、本当に必要なの?」
『当たり前だろう』
「もうっ、ヤダなぁ……」
私は、かなり
「ウラウラウラウラー!!」
『それはターザンだろう』
その場が少し
バンッ!!
「もう、梓ちゃん!!近所に聞こえたら恥ずかしいでしょ?!御神本さんの梓ちゃん、大丈夫かしらって心配されるわよ」
「う、うん。ごめんごめん、えへへ」
部屋に飛び
「もう、叱られたじゃん」
『そうしたら、そのまま後ろにジャンプだ』
「なんじゃそりゃ」
『ジャンプだ』
「あいよ」
私は守護神像を両手で胸に抱えて、ピョンと少し後ろに跳ねた。
またその場が沈黙した。
「って、なに?」
バンッ!!
「もう、梓ちゃん!!近所に聞こえたら恥ずかしいでしょ?!御神本さんの梓ちゃん、大丈夫かしらって心配されるわよ」
「えっ?!あっ、ああ!!ごめんごめん、へへへ……」
するとママはさっきと同じように、唇を
「ちょ、ヤバイよこれなに?」
『エルクァフゾ』
「えるかふぞ?」
『巻き戻せたかな』
「ウソでしょ……やめてよ」
『エルクァフゾしかない、目的を果たす方法はな』
「イヤだよ、怖いもん」
『そうだろうな』
「そうだよ……でもさ」
『どうかしたのかな』
「地図はここにはないんだよね」
『そうだ』
「過去には?」
『あった』
「どのくらいいくの?」
『その前に』
「ん?」
『そんな小さなジャンプではダメだ』
私はやっぱり好きになれないと思う。
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