陛下と呼ぶな。ここでは同じ兵士だ。
姫と似ているからって俺が身代わり? 残念国家に嫁いで戦争に巻き込まれた翼族の愛と戦い〜弱小国家フレーヴァング王国戦記〜
/作者 雨 杜和orアメたぬき
第2部 弱小国家フレーヴァング王国戦記
第3章 ヴィトセルク王
陛下と呼ぶな。ここでは同じ兵士だ。
https://kakuyomu.jp/works/16816452220315287250/episodes/16816927859310373692
彼は名門貴族出身というわけではなく、地方貴族の三男だった。聖騎士でもなくヴィトセルクについているのは、その忠誠心と有能さからである。
⇒ここはある程度致し方ないのですが、説明的ですよね。
「彼は地方貴族の三男だった。ヴィトセルクについているのは、その忠誠心と有能さからである。」でもじゅうぶんわかりますので。
「ある程度致し方ない」というのは、ここで書かないとアスートが「名門貴族出身ではない」ことと「聖騎士ではない」ことが説明できないから。
ただ、この物語でどれだけこの情報が必要となってくるのか、を考えてしまいます。
たとえば「籠城中に名門貴族出身の聖騎士とアスートの間で諍いが起こる」とか「名門貴族出身の聖騎士から敵視されている」とか、そういった展開がないのであれば、書かなくても問題はないように思えます。
もし過去作とのつながりで書いているのであれば、まあわからないではないのですが。でも説明的ですよね。
この先の展開でアスートが「名門貴族出身の聖騎士ではない」ことが重要になってくるのなら、原文ママでいいでしょう。
1年は16ヶ月である。
⇒これも説明的ですね。たとえば、
⇒だが、まだ13月ではない。本格的な冬は13月から年末の16月。春がはじまるのは、翌年の1月からだ。
と書けば「1年は16ヶ月である。」と書かなくても「年末が16月」だから「1年は16ヶ月」なのは伝わるかと。
まあここも意図次第ではありますね。説明してでも「1年は16ヶ月」をきっちり示したいのか。文を読めばわかる書き方をするのか。
お互いに親の情がうすい育ちだからこそ、家族以上の存在でもある。だから命をかけて彼に尽くし、それを理解しているのがヴィトセルクだ。
⇒ここは「彼に尽くし」が誰になのかがわかりづらいですね。
前文が「お互いに」なので、アスートの視点かもしれないし、ヴィトセルクの視点かもしれない、と思わせます。そしてアスートの視点なら「彼に尽くし」は「ヴィトセルクに尽くし」だとわかります。しかしヴィトセルクの視点なら「彼に尽くし」は「アスートに尽くし」になってしまうのです。
ヴィトセルク視点で「アスートがヴィトセルクに尽くし」とするなら「だから命をかけて私に尽くし、」と書くべきですね。
一ヶ月か……、一ヶ月持ちこたえれば負けることはないと、彼は計算していた。
⇒ここは視点がブレていますね。前の「一ヶ月か……、」はヴィトセルクの心の中の声。しかし残りの「一ヶ月持ちこたえれば負けることはないと、彼は計算していた。」は三人称視点になっています。一文中なのでふたつの視点が切り替えるとわかりづらさにつながってしまいます。
ここは声に出して
⇒
「一ヶ月か……」
一ヶ月持ちこたえれば負けることはないと、彼は計算していた。
⇒と書くか、すべて三人称一元視点で、
⇒
一ヶ月か……。
一ヶ月持ちこたえれば負けることはないと、彼は計算していた。
⇒のようにするべきなので、最低でも文を分けてください。
セルファーに寄れば、第一団隊の百人隊長で優秀な男だという。
⇒「セルファーによれば、」とかな書きが基本ですが、漢字なら「セルファーに拠れば」ですね。
以前、国境付近で軽い戦闘が起きたことがあり、適確に対処して敵を排したツワモノだらしい。
⇒おそらく「ツワモノらしい」ですね。「ツワモノだったらしい」かもしれませんが。
奴らは奢っている。
⇒「驕っている」ですね。「奢っている」は振る舞っているほうを指します。
100年前、群雄割拠の時代には国々の戦乱は絶え間なかった。
⇒「絶えなかった」でよいでしょう。「絶え間がなかった」言い回しだと少し意図とズレます。
3大大国に収束した今、国同士の小競り合いはあっても大きな戦争はない。
⇒「3大国」でよいでしょう。
かつてこの世界に存在したウルザブの民が操る秘技であり、空間を開いて異世界に行くことができると同時に、空間にバリアを張る能力も高い。
⇒「かつてこの世界に存在したウルザブの民が操る秘術であり」を「空間にバリアを張る能力も高い」で受けてしまうと、ちょっとわかりづらくなります。
「『空間魔法』は秘術であり、〜できると同時に、〜できる(〜にもなる)。」
というような形がわかりやすいので、たとえば、
⇒かつてこの世界に存在したウルザブの民が操る秘技であり、空間を開いて異世界に行くことができると同時に、空間に高強度のバリアを張れる。
⇒とする手もあります。「張れる」は開くと「張ることができる」なので、「〜できると同時に、〜できる。」の形になります。「高強度のバリアにもなる。」でもよいでしょう。
ヴィトセルクは自分では気づいてないが、周囲の人々を惹きつける魅力がある。
⇒「ヴィトセルクには自分では気づいていないが、」とするべきですね。
転回すると「自分では気づいていないが、ヴィトセルクには周囲の人々を惹きつける魅力がある。」となり、より自然ですよね。
※どうも設定を語ってしまうところがあるようですね。
もう少し展開で読ませる工夫が必要かもしれません。
とくにアスート周りと空間魔法周りですね。
空間魔法に関しては前話で城壁の守りに使っているのでよいとして、アスートに関してはこれから必要になってくる説明なのかどうか。
残すのであれば以降の展開で必ず回収することをオススメ致します。
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