第6話
また明日、この公園出会おうよ
日菜子はそういって帰った。私はしばらく呆然となり、夢だったかなと、今の出来事を考えていた。ギターで飯を食おうとしている世間知らずなお嬢様、自分の実力を知らず、無防備で男の怖さを知らず、ほかにいくらでも道はあろうのに、世間をなめ腐った若者。だが、憎めない。
生きていくと、苦しいこと、楽しいこと、おり混ざってやってくる。ときに甘い蜜が据えたとおもえば傲慢になり、地のそこに突き落とされ、そこではを食い縛れば我慢の連続がありまたもとの場に戻れることもある。人生もうそろそろ終着駅だが、過去は変わる。未来の希望によって過去の意味付けは変化する。私は妻と別れ、失意の底にいたのが、少女と出会うためのきっかけだったとすれば離婚した意味が変わる。家庭を省みなかったからだ。今は反省の境地にいる。娘みたいなあの子に仲間といわれ、私はいったい何を得てきたのかと自問した。日菜子一人を養う力さえない今の自分。だが、日菜子に日の目を見せてあげたいともおもう。私は、忌避していた派遣に登録することとした。
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