せっかくの夕日を隠す雲に
電車に揺られながら本を読む
わざと各駅停車に乗るから
ページをめくる親指がカサカサと
水を失っていく
ちょうどいい節目で
私は顔をあげた
この時間で、この駅ならば
とても良い、山に夕焼けが見られるだろう
ふい
(あ)
雲の腹は灰色で
グラデーションの切れ端まで
突然のオレンジ
オレンジから紫に
夜空になる前のしらっちゃけた薄青
綺麗だけれど
ほしかったのはコレじゃない
明日は見られるだろうか
泣ける夕日に思う過去
ふい
(どこから、だっけ)
ぺらり
ぺらり
ぱたん
彼女は本を閉じて
残念そうな顔をして
本を鞄の中に仕舞った
そして大きな瞳を、ゆっくりと閉じて
悲しそうな顔で寝始める
(ああ)
明日も見られるだろうか
その愛らしい顔を
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