『ジャーリアの義務と誇り』を叩き込む
アプサラス・レディス・スクール……
十歳から入学の四年制の女学校、ジャーリアの養成教育を目的としている。
全寮制で学費などは無料、入学すればそれなりに給料まで支給される。
生徒は幼い少女ばかりですが、内容は信じられないほどのスパルタなのです。
ジャーリアって、本来、女奴隷ですからね、人権なんて考慮されていないのです。
これはアールヴヘイムンの社会風習が影響しています。
徹底した男尊女卑の世界であるアールヴヘイムンにおいて、女性の教育は家庭内で行うのが習い。
教育機関は男子のみ、ほとんどの女性は文字も読めないようです。
ただ高位貴族の侍女などは、そのハレム内で侍女教育がなされ、それなりの教養はあるようです。
これは王宮などにおいては顕著で、王宮のハレム内には、小規模ながら『侍女学校』があるのです。
この『侍女学校』は読み書きと、侍女としての職業教育、そして『夜』について教えます。
『夜』の授業は、アールヴヘイムンにおける女性の在り方も教えます。
つまり、『男に尽くす』ことが女性としての義務と教えるようなのです。
もっとも、生まれたときから、見るもの聞くもの、すべて男尊女卑で成り立っているアールヴヘイムンですから、おのずと生まれた女性は男に従うことが当然となるのです。
数千年もこれがつづいているのですから、本能となっているのでしょう。
アプサラス・レディス・スクールは、このあたりの価値観での教育はしません。
まずは男尊女卑の価値観を否定します。
そして『サムラート』に奉仕することが、『ジャーリアの義務と誇り』と叩き込むのです。
その顕著な例が、授業の始めに見られます。
始まる前に予鈴が鳴ります、それまでには教室にクラス員は全員集合しています。
予鈴が鳴るとクラス一同は起立して、次の言葉を唱和するのです。
私たちは、良きジャーリアとして、サムラート様にお仕えすることを誓います。
私たちは、身も心も、サムラート様に捧げることを誓います。
私たちは、サムラート様のどのようなご命令も、喜んで従うことを誓います。
私たちは、サムラート様だけをお慕いし、この身を差し出すことを誓い、日々研鑽いたしますので、サムラート様におかれましては、受け入れていただけるよう、ここに願います。
午後一番の授業でも、これを行うようです。
この話を聞いた、ヴィーナスさんは頭を抱えたようです。
でも、サリーさんが褒めたので、黙ってしまったヴィーナスさんでした。
ラーニーにとって、このような誓いの唱和は珍しいことではありましたが、当然とおもったようです。
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