第12話 茜の空
多恵・岳宅への訪問以来、茜ちゃんは、やや落ち込み気味であった。そのもう一つの要因に、圭輔さんが再び海外へ行ってしまった事もあるが。
仕事が一寸早く引けた帰り道で、僕は美紀と話しながら歩いていた。
「茜ちゃん最近、一寸元気が無いみたいなんだ。」僕は、美紀に近頃の彼女の様子を話した。
「私もそう思うの。今度、食事にでも誘って、山の話でもしましょうか?」美紀の提案に、僕は同意して
「幾らか、圭輔さんとの写真が有るから用意しておくよ。考えて見れば、茜ちゃんは、山仲間の事、殆ど知らなかったのに、いきなり、重い現実に巻き込んでしまったのは、可愛そうだったね。」
「確かに、多恵さん達の生き方は、まだ若い茜ちゃんには、重すぎたかもしれないわね。」大分、日も短くなって来た晩秋の夕日がビル街を染めていた。僕はふと、あの日の帰りに独り言の様に話していた茜ちゃんの姿を思い出していた。
「岳さんが可愛そう。今度は、誰かが岳さんの支えに成ってあげなければ。」
<救済委員の休日: 一話 紫の雨に包まれて へ>
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