第7話 美紀の胸に懐かれて
その夜、僕らはお互いの淋しさと、逢えなかった時間を埋め合わせるかの様に、激しく愛し合った。
「今夜は凄かったね。」
「美紀も、小悪魔みたいだった。」
「ああ、この下着のせいかな。」と言って、足首に引っかかっていた黒い下着を見せた。
「うん、とってもセクシーだった。」
「これ、綾佳さんから頂いたの。」
「ああ、あれ!」
「綾姉て、何時もあんなの履いてるの。」
「こら、変な想像するな!」美紀が怒ったそぶりをして言った。
「でも、そうかもしれない。この間、薫さんに奇襲された時、和君のパンツ借りたでしょう。あの時、悪いと思ったけど、綾佳さんの下着を一寸覗いちゃった、男物よりましかなて思って。」
「ええ・・それでみんな、こんなセクシーなやつばかりなの。」
「こら、また、変な想像してるでしょう。」
「それで、何で、綾姉の借りなかったの。」
「色々事情があるの・・・セクシー過ぎるハイレグなので、ラインの処理をしなくっちゃいけないから。」
「ライン?・・・ほうヘアーの事。」何だか納得している僕に、
「ちゃんと処理して有ったでしょ。」とお茶目ぽく美紀が言った。僕が、布団を捲り、美紀の下半身を見る真似をしたら、軽く蹴飛ばされた。
「女の人って、下着一つでも、お洒落するのは、大変なんだね。」
「そうよ、ブラだって、このパンティーに合うのを見つけるのに、3件も下着屋に寄ったのよ。・・でも、其のかいが有ったみたい。」
「本当、凄いね。この間の裸の美紀は、まるで天使みたいだった。でも、今日の下着の付けた美紀は、小悪魔みたいで、とってもそそられた。」僕は、改めて美紀の下着姿を思い起こしていた。そんな僕に、美紀は
「変な事聞いても良いかな?」
「え、何?」
「綾佳さんて、もしかして無毛症?」
「え、無毛症て、毛が無い事?下の?」
「うん、私もそんなに濃い方じゃ無いけど、あの下着を着けるとなると、ケアーがそれなり大変だなと思って、脱毛とかしていれば別だけど、少なくとも、お風呂や洗面所にはそれらしき道具も無かったから。」
「うん・・綾姉とは、子供の頃なら、一緒に風呂入ったけど、子供の頃じゃぁ、無くて当たり前だし、混浴した時でもそんなに近くで見たこと無いし。間近で見た事が有るのは、美紀のが、始めてだし。」
「変な時に、固有名詞を出さないでよ、恥ずかしいじゃない。」
「その無毛症が、何か問題なの。」
「無毛症て、遺伝なのよ、それも母方の遺伝が強いの、つまり、母親がそうだと、其の母から生まれた子はみんなそうなるの。昔の中国や韓国の宮廷では、あえてその遺伝子を持った女性をお嫁さんにする事があったみたいで、一族の証として、今みたいに、DNAや血液鑑定なんか無かった時代だから。」
「何だか詳しいんだね。」
「一寸調べたのよ。それで、和君のお母さんと、綾佳さんのお母さんて、双子なんでしょ
。」
「うん、性格がまるで違ったけど。」
「双子なら、同じ遺伝子持っているかもしれないて、」
「そうなると、僕も無毛症て事?でも違うし。」
「うん、双子と言っても、二卵性だったら話は別だけどね。」
「まあ、綾姉が本当に無毛症かどうか、解らないし。今度確かめておく・・て訳にはいかないし。」
「まあ、そうね。」
美紀の推理ゲームで頭が疲れて来たためでもあるが、緩やかな眠気が押し寄せて来ていた
。僕は、もう一度美紀の体を抱き寄せて、
「ねえ美紀、この間の様にまた抱いてくれない。あの時、美紀に起こされなかったら、美紀より先に、天国に行ってたかもしれない程気持ち良かった。」あの時、美紀の胸に懐かれて、一瞬眠りに付いていた時、何か懐かしい物を感じた。その懐かしさをもう一度確かめたかった。
「うん良いよ。そろそろ眠いし。」そう言って美紀は、僕の頭を優しく抱きかかえてくれた。僕は、美紀の胸の感触と、美紀の香りに包まれながら、眠りに入った。
これは、夢だと思いながら、夢を見ていた。
母が居て、綾姉が居て、可愛がっていた猫が死んだ時、落ち込んでいた僕を優しく抱いてくれた。何だこの感触、これは、美紀の感触と母の胸の感触が混じり合っていた。背中に何か、そうだ綾姉だ。母が何か言っている。『一人は可愛そうだから、一緒に居てあげて』・・『和也、まもってやるぞ』・・
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