第11話【ヴィルデとの初対面】

「よし!」


エレナは、両頬をパチパチと叩く。


(今日は、大事な日だから気合いを入れないと!)


「お嬢様、何をしてるんですか?」


「だって、今日は私の家庭教師になってくれるかもしれない人が見学に来るんでしょ?

いいところを見せないと!」


そう言ってエレナは両手を胸の前でグッと握りこぶしをつくる。


「そうですね。

それでは、私も気合を入れましょう」


そう言ってロゼがどこからとも無く取り出したメガネをかける。


「もう、なんでロゼが気合い入れてるのさ」


「私はヴィルデ様がお嬢様の家庭教師件護衛に相応しいか見極めないといけませんので」


「今日見定めるのは私の方だよ〜。

それにもしロゼが気に入らなくても不採用にする権限なんて無いでしょ」


「私は旦那様に借りがありますのでもしもの時はそれを使わせてもらいます」


ロゼがメガネをキランとさせながら言う。


(いや、こえーよ)


「さ、ロゼ、行こう」


「かしこまりました」


◇◆◇◆


コンコンコン


「エレナです。

入ってもいいですか?」


「ああ、入りなさい」


「失礼します」


ノックをしてロゼと一緒にブレインの部屋に入ると初めて見る女性がブレインと向かい合ってソファーに座っていた。


(多分この人がヴィルデそんなんだろうな。

綺麗な人)


エレナは、ヴィルデのスラッとした体型と整った顔立ちに心の中で称賛する。


「エレナ、何となく分かるとは思うがこの人が、エレナの家庭教師になってもらおうと考えているヴィルデだ」


「私は、ブラムブル家長女のヴィルデと申します。

今は王国軍の少佐をしています。

よろしくお願いします」


ブレインの紹介に続き、スっと立ち上がったヴィルデが優雅に挨拶をする。


「初めまして、ネニュファール家長女のエレスティーナです。

こちらこそよろしくお願いします」


エレナも子供らしさを意識しつつ、出来るだけ丁寧に挨拶をする。

ヴィルデは、エレナの挨拶に少し驚いたような表情を一瞬見せたが、それは本当に一瞬の事で直ぐに真剣な顔になりエレナをつま先から頭のてっぺんまでゆっくりと観察する。


(うわぁ〜。

めっちゃ観察されてる〜。

緊張でブルっちゃいそう)


「はははっ。

ヴィルデ、そろそろやめてやれ。

エレナが固まってるだろ」


「し、失礼しました」


ヴィルデは無意識にエレナを観察していたらしくブレインの指摘で我に返り、慌ててエレナに謝罪する。


「だ、大丈夫ですよ」


「じゃあ、俺は仕事に戻るから後はエレナの部屋で話しなさい。

さ、エレナ案内してあげなさい」


「はい、お父様。

お父様もお仕事頑張ってください」


「ありがとう」


愛娘に応援されたブレインはもうデレデレである。


「では、ヴィルデさん行きましょまうか」


「はい。

それでは失礼します」


こうしてエレナはヴィルデを連れて自室に戻った。

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