第41話 水中での お祭り


上の都市のそのままに 都市は白亜で美しい

レンガは使われてないが 違う素材の綺麗な石が使われていた・・。

そして 大きな違いは水中の中にあり ここは水中の中 

浅い位置にあるので太陽の光は届いて 

水の中で 複雑な屈折帯びながらも光煌き

木々に 花や小鳥の代わりに 

海草やサンゴがあり 色鮮やかな魚達が泳いでいる事

時折 水中都市の住人・・


水色の髪に 銀色の鱗 

それから 足には 華やかな色合いのグラデーションを帯びた赤い色


魚のヒレの人達 いや人魚と呼ばれる者達とすれ違い

互いに手を振る


尾ひれは まるで柔らかな布を何枚か重ねたように

とても綺麗なものだった・・。


彼等の服もまた 重ねた柔らかく透けたシフォンのような生地で

動くたびに水の中で軽やかに踊るよう


祭りの宴の為に

沢山の色あいの透ける長い布が水中都市に飾りつけられている


水晶で出来た灯篭もあり 

水晶の灯篭の中に発光する物体が入れてあって

それが 都市のメインストリートに数多く飾られて 

光り輝くダイヤのように


水中の中で

それは 美しく煌いている


水中都市の住人・・人魚達は メイン会場で 舞い踊る

着飾った人魚達の舞は それは美しいものであった


「ええと・・ビデオ・・妹に見せてやらないと」


「ふふ・・ファリ 私が撮影してあげる」

「あ・・頼むよ エル有難う」

照れくっさくて 顔が少しばかり赤くなる


「ファリも撮るから・・こっちを見て!」とエル


「あ・・いいから! とにかくあの人魚姫たちの舞を頼むよ」

「そんなに照れなくてもいいのに」

クスクスと笑うエル


「あ・・あれ!踊りの中心にいるの・・

 ナギ・ナジュアナリじゃない!」


「え!本当だ!」


彼は 口と鼻にはわずかに色のついた透明なマスクをして

耳と耳元近くに何か装置のようなものをつけていた


衣装は白い 古代の地球の衣装・・ギリシャ神話だったか

そんな感じの柔らかな生地を重ねで着ていた


胸元や頭には 金細工の飾り


髪には まるで小さな花びらを散らしたように

涙型の小さな宝石 アクアマリンにサファイアにルビー

それからアメジスト・・紫水晶が 髪の中のあちらこちらに

ピンで はめ込まれていた


服の裾にも 彩りとして 同じく涙型の宝石が縫いこまれていた

水のゆらぎで その重なりあった生地は 美しいウエーブを描く


天使か妖精のような風情のある

どこか中性的な彼には よく似合っている


彼の長い黒髪が水の揺らぎにそよぎ 

白い肌が水中の中の光りを浴びて

輝いてみえた


彼は 舞を踊る水中の人魚・・舞姫たちの中心にいて

手に持ったハープのような楽器を奏でている


水中でもよく響くように造られ調整されたもの

水中服の集音器が音を拾う


綺麗な音色・・・

奏でられる曲に 耳をすます


曲が何曲かすみ 彼や舞姫達は聴衆に頭を下げ

聴衆は 拍手で手を叩くかわりに 彼等に手を振った


「あ!ファリ エル! 祭りに来てたの!」ナギ・ナジュアナリ


「すごいじゃないか! 曲 素晴らしかったよ!」


「それにしても・・教えてくれても良かったのに」とエル


「ふふふ・・急に決まったんだ

ハープの弾き手が急病でね ピンチヒッターだったんだよ

学校で 丁度 彼等の音楽を勉強してたから」ナギ・ナジュアナリ


「それにしても 水中服なしで平気なのか?」と俺


「うん大丈夫・・実は検査でわかったんだけど・・」

そう言って 彼ナギ・ナジュアナリは自分の鱗のついた手の甲を見せる


「僕の天空人の遺伝子だけど・・

鱗でわかるように・・水中で暮らしていた人達だった


で・・調べたら

僕の体には 退化したけど 耳の後ろ部分にエラがあったり

肌も大丈夫だった 浅い水圧なら平気で

それから

体の中に空気を貯める袋がついていた」

ナギ・ナジュアナリは言う


「だから・・退化した耳元のエラを強化する機械と 

地上に適応してる部分をカバーすれば

つまり・・水に適応しない部分


この場合 耳や鼻とかだけど・・

浅い水深のこの水中都市なら 長時間過ごす事は可能なんだ」

「多分 ファリの妹リリーシュさんも 古い水の種族の姿をしているから 

検査しないと わからないけど・・僕より 適応出来ると思う」


「俺の妹リーシュもなのか?」目を見開く・・

「だが 驚いたな・・身体が この水の惑星にあってるんだ・・」

「なあ・・・

ナギ・ナジュアナリは こっちの暮らしの方が楽しい?」

深い意味などなく 何気に俺は彼に問いかけた・・。

「まだ よくわからないけど・・砂漠の故郷の惑星での

暮らしは苛酷だったから・・それに あやうく殺されかけたし」


「その・・他にも・・様々な事があったから

でも・・確かに 僕の一部は この水の惑星に適応してて

ここでの暮らしは楽しくて快適だし」


「でも・・この身体の一部は 砂漠の地の者と同じ

それに ファリ達と同じ血が流れてるのは 僕ナギ・ナジュアナリにとって

とても大事な意味がある事」


「ファリ達は 命の恩人で・・それから」

「ファリ達の部族の人達は まるで僕を家族の一員のように扱ってくれた・・

僕は ファリ達の部族の村では幸せを感じていたよ」ナギ・ナジュアナリ

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