第33話 居残りレーヴ

あの呑気なレーヴが この惑星に残るというのだ


レーヴが遅れて来た

彼は 勢いよく俺達に向かって手をふっている  


能天気で まったく そうは見えかったのだが

技術者としても 植物の品種改良についても 彼は博士号とやらを

持っているらしかった 


ゆえに・・まだ若いのに・・ちゃっかり この惑星改造計画の一員として

ついて来たのだった・・という


俺は内心てっきり 

好奇心やら親の七光りで ついて来たものだとばかり

思っていたのだが


そう一週間前に

本人の前でも つい口が滑り 

「お前・・親のピウスさんに 「おまけ」として 付いてきたとばかり・・」

「ひ・・ひどい!ファリい~それはないだろう!」

レーヴは涙を浮かべて そして彼に抗議された


だってな・・憎めない とても いい奴ではあるのだが


あの能天気ぶりは・・確かに・・

誰だってそう思うと・・


「・・・違うのですか?」

と先日の生贄騒動で助けた彼ナギ・ナジュアナリも

ちょうど ドクター・オズからのリーシュの薬を届けにきて

その場にそこに居合わせ 

綺麗な青紫の瞳を大きく見開き驚いたように言う


「え! レーヴさんって 学者さんなの!

てっきり お父さんのピウスさんについて来ただけとばかり」

とこちらはリリーシュ・・。

「リリーシュちゃ~んまで・・ ひどいよ!」泣いているレーヴ


「レ・・レーヴさん 元気だして! 

ほらコケの実入りのお菓子 あげるから」

「僕も 弟達にもらったコケの実の蒸したお菓子 沢山持ってますから どうぞ」

慌てて差し出す ナギ・ナジュアナリ


「あ・・レーヴ そういえば 東の方の水晶や紫水晶のある丘

あそこに行きたいって・・言ってたよな

東は敵対する部族や 巨大モンスターが多いからって 反対されてたけど」

「まだ 俺が惑星ファルトーナへの出発まで 一週間あるから

明日 明後日中に行こう

戦士の俺が付き添いなら 許可は下りるはずだから・・な・・」


とりあえず・・俺達は

若きレーヴ・K・B・アレクサンドル博士のご機嫌をとってみた


レーヴは・・菓子や遠方のピクック(調査の為の採取とも言う・・。)に

とりあえずは 機嫌をなおしたようだった


本当に レーヴ・・奴はいい奴で

そして失敗も多いが 優秀な植物学者だった


あのコケのトリブルや彼レーヴに言わせるところの

サボテンもどきサツバールから

そう・・彼レーヴが

品種改良した植物をそれは驚く程に 沢山作り上げた。


あるいは その遺伝子情報とやらから

記録や保存されてなかった・・滅んだはずの植物を再生させて

新たに生まれた植物や大昔の植物の果実の実は


やがて・・人工水路から 作り出させれたオアシスで

栽培されて・・その実は 豊かに実り 

俺達の食卓のテーブルに 所狭しと 並べるのには

そう時間もかからなかった


どこに そんな時間や元気があるか わからないが

彼レーヴは 小さな子供たちの為に 小さな学校まで作った


あの箱 コンピューターを使い 

子供達が喜びそうな様々な映像や子供用の勉強のソフトを作る


あるいは

砂漠にある石ころで 遊び道具を考案したり・・

身近な道具で 数の勉強道具を作った


もっとも 後に 多忙になった彼の代わりに

妹のリリーシュや村の年長者たちが教師をつとめる事となったのだが


まあ・・多才で優秀ではあるのだが・・

ついでにドジでおっちょこちょいで・・・どっか大事な事を忘れてたりと

明るくて素直で 子供のように純真で 

いつもキラキラしているレーヴ


俺は そんな彼を 微笑ましく 大変好ましく思っていたが


俺達がついてないと 本当に大丈夫だろうか・・と

心配でもあった


やはり彼の父親ピウスさんも同じ考えだと聞き 

本当に 心から 納得した。

好奇心は 旺盛


油断すると 

植物を何でも口にする性格・・いや癖だけは直した方がいいと

彼自身にも俺の妹リりーシュにも頼んでおいたが


口に含み 一度泡をふいて倒れたにもかかわらず

何度も同じ事をする・・あの性格


本当に大丈夫だろうか・・と俺は少々心配であったが


あるいはリリーシュ目当てのようでも

あるのだが


後に彼は『緑の守護者』と呼ばれる事になる

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