第43話:冬前の掘っ立て小屋
最初の奴隷希望者を受け入れてから、続々と人がやって来た。
分かっていた事ではあるが、この冬は特に生き残るのが厳しいようだ。
毎日何十人、時に百人を越える奴隷希望者が村にやってくる。
食糧は有り余るほどあるので何千人やって来ても大丈夫なのだが、問題は奴隷希望者を収容するための家がない事だった。
雪深いこの村では、家なしで冬を超える事は不可能だ。
だがだからといって、氏子衆の家に収容するわけにはいかない。
氏子衆を危険に晒す事など絶対にできない。
だが村外の新集落の軒数は限られている、1人1畳の広さに制限したとしても、500人を受け入れるのが限界だった。
そこで急いで掘っ立て小屋を建てることにした。
一冬だけもてばいいので、切り倒したばかりの生木を、礎石などを使わずに柱を直接土中に埋め込んで建てた。
雪が降り積もるまでに間に合うか分からないが、手をこまねいているわけにはいかないに、とにかく間に合わせないといけない。
もし奴隷希望者のために冬を越すための装備を買うとしたら、せっかく蓄えた金がまた一気になくなってしまう。
冬季用の2ルーム4、5人用のテントは8万円もするのだ。
そのテント内で使用できる薪ストーブを買うには、2万6300円が必要だ。
更にマイナス25℃の厳しい環境にも使用可能な、高い保温性を有する冬用寝袋を買い与えるのなら、一つ5万1700円も必要になる。
5人を助けるために、36万4800円の必要になる。
1000人が逃げてきたら、7296万円もかかってしまう。
だが、異世界氏子村だけで300人もいたのだ。
100人規模の村が20逃げてきたら2000人だ
そこそこの都市が生き延びるために貧民を追放したら、奴隷希望者が何人になるのか想像するのが恐ろしい。
森の木を切り倒して掘っ立て小屋の材木にするには、斧が非常に役にたった。
奴隷希望者に買い与えれば便利だが、境内に入れない者には貸し与えることすら危険なので、材木の切り倒しは氏子衆が行った。
2473円のノコギリ200本を買って奴隷希望者に材木の長さをそろえさせた。
3本1580円のノミを200組買って材木に穴を開けさせた。
440円の19mmから75mmの丸釘セットを200個買った。
1280円の金槌200個を買って奴隷希望者に釘を打たせた。
その他にも石姫皇女の食費がかかったので、わずかな間に150万円を使って、残高が2億4968万円になっていた。
どうしてもこの世界の材料で屋根や壁の隙間が埋められないのなら、通販で屋根材や壁材を買う。
9尺のガルバリウム波板屋根材は1枚1380円で、耐用年数が30年くらいあいるから使いまわしする事も可能だ。
12坪の掘っ立て小屋に必要な枚数は20枚だから2万7600円で済む
ガルバリウム波板屋根材を異世界に持ち込むのが嫌なら、厚さ12mm、幅910mm、長さ1820mmの構造用合板が1枚1300円で購入する事もできる。
まあ、もうやり過ぎているから、今更だけどな。
屋根の下地や壁の隙間を埋めるだけなら、近場の森林組合から間伐材を、近所の製材所から背板を買う方法もある
太さ12mmから15mm、長さ4mの杉間伐材1本1000円。
30本買っても輸送費込みで9000円だ。
長さ 2m、幅150から180mmの背板が100本で2000円。
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