3-4(月)学園祭準備開始デース


 「文化祭デースか?」



 学校に登校しながら紫乃はリンダに学園祭のことを話す。


 「そうだよ~。来週学園祭があるから今週から準備で忙しくなるんだよ~」


 紫乃は嬉しそうにそう言う。

 そう言えば紫乃はサークルに所属していて今回はそっちの出し物メインで動くって言ってたっけ?



 「由紀恵、学園祭何するデースか?」


 「うーん、趣旨としては学生による文化の考察と研究の発表の場なんだけどぶっちゃけお祭り、カーニバルね!」


 「OH-! カーニバルデース!!」



 リンダはそれを聞くとやたらと嬉しそうにする。

 しかしお兄ちゃんは軽くため息をつく。

 

 「まあそうなんだけど、部活もあるしなぁ。なんで引退直前に学園祭やるかね?」


 「だって二学期でやったら受験勉強に影響出て来るじゃない! お兄ちゃん基礎がまだまだ弱いんだからしっかりとやらなきゃだめだよ!」


 あたしはお兄ちゃんの腕にしがみつきながらそう言う。

 これでお兄ちゃんが地元の大学に受かればあたしもその後を追ってまた一緒に学校へ行ける。

 夢のラブラブキャンパスライフよ!



 「大学ねぇ‥‥‥」



 お兄ちゃんは空を見上げながらため息をつく。

 そう言えばあの約束の結果を出さなきゃならないんだっけ?



 「それで由紀恵も着るのデースか?」


 「はい?」


 「カーニバルと言えばビキニでサンバを踊ると聞きましたデース!」


 「いや違うから、それブラジルだから、ここ日本だからっ!!」



 あたしが思い切り訂正しているとリンダはきょとんとしてこっちを見ている。


 

 「カーニバルじゃないデースか?」


 「祭り、カーニバルだけどそう言うのじゃない!」



 うーんとか唸っているリンダだけど紫乃が耳元でこしょこしょ言っていると途端に目を輝かす!



 「OH-! 自主映画撮影して謎の目からビーム出したり急遽バニーガール姿でステージに上がって歌たったりするあれデースね!!」


 「うんうんそうだよ~。わわわわ、忘れものぉ~、だよ~」


 また紫乃とリンダが訳ん分からない事で盛り上がっている。




 「ああ、来た来た。おはよう長澤君。いよいよ学園祭だねぇ~」



 校門で高橋静恵が手を振っている。



 「おはようございます、高橋先輩」


 「あらおはよう、何よ朝から長澤君独り占め?」



 あたしがお兄ちゃんの腕に抱き着いていると羨ましそうにそれを見る高橋静恵。


 「どこかのおっぱい星人がおっぱいお化けに誘惑されない為です!」


 「誰がおっぱい星人だよ」


 お兄ちゃんの抗議の声を無視して学校へ入って行く私たち。

 そうか、高校ではお兄ちゃん最後の文化祭になるのか。



 一緒に良い思い出作らなきゃ!




 私はそう思い校門をくぐるのだった。 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る