第84話冬馬君は……

……あれ?これは……?


空の上に飛んでいるような感覚……。


上から自分の家を覗いている……?


なんだ……夢か。


だって、母さんがいるわけがない。


それに、なんだ?この状況は……?


「母さん、彼女の清水綾さん。可愛いでしょ?」


「は、初めまして!冬馬君のお母さん!清水綾と申します!」


「あらあら、可愛い女の子。冬馬には勿体ないくらいね」


「俺もそう思う」


「そんなことないです!私は冬馬君が良いんです!冬馬君大好きです!」


「お、おう……あー…まいったな」


「ふふふ、息子の照れ顔なんて初めてね。嬉しいわ、息子の彼女を見れるとは思ってなかったから……」


「母さん……そんなこと……」


「あ、あの……また、来ても良いですか……?」


「ええ、 いつでも来てくださいね。それと、冬馬のことよろしくお願いします。この子、今時の子とは少し違うから……私は好きなんだけど、少し昭和というか……」


「はい!……確かに、最近の男の子っぽくないですけど……冬馬君は素敵な人です!優しいしカッコいいし、頼りになります!私は好きです!」


「綾、ストップ!頼む……」


「ふえっ?あ、わ、私……はぅ……」


「あらあら〜、ラブラブなのね」


……ああ、とてもいい夢だ。

夢の中とはいえ、綾を紹介できるとは………。


……場面が変わった?

俺と母さんの2人か……。


「冬馬、良い子ね。大事にするのよ?」


「ああ、もちろんだ」


「女の子はデリケートなんだから。冬馬……男なら、好きな女の子を泣かせてはいけないわ。嬉し涙以外にはね……わかったわね?」


「は、はい……出たよ、たまに出る怖い顔……」


「冬馬?」


「いえ!はい!大事にします!嫌がることをしません!」


「なら、良しとします……ふふふ、ありがとね。冬馬……私、貴方の大事な子に会えて良かった……」







………涙が……そりゃ、そうだな。


でも、良い夢だった……。


「お兄ーー!?まだーー!?」


「起きたよ!今、下りる!」


さて……いよいよ、今日は綾が来る日だ。




「綾、おはよう」


「お、おはょ……」


「綾……普通にしてくれると助かる……」


「ご、ごめんなさい……」


…… 意識しまくってるな。

何か話題を……あっ。


「そういえばな、母さんが夢に出てきたんだ」


「え?……そうなんだ……良かったね」


「まあな、しかもな……綾を紹介してたんだ。俺の可愛い彼女だって」


「ふえっ?な、なんて言ってたの……?」


「ん?ああ、褒めてたよ。可愛い女の子だって。俺には勿体ないってさ」


「そんなことないよ!」


「ククク……」


「アレ?なんで笑うの!?」


「いや、なんでもないよ」


……まさか、夢と同じ答えが返ってくるとはな。

だが、お陰で変な空気がなくなった。

まだまだ放課後までは時間あるし、今から緊張してるんじゃな。

母さんに感謝だな。





そして、放課後を迎える……。


「さて……帰るとするか」


「う、うん……」


視線を感じ、そちらを見ると……。

森川と黒野が、ニヤニヤしていた……ニャロメ。

そりゃ、相談してるわな。




2人で手を繋ぎ、俺の家へ向かう……。

その間は沈黙が続いている……。

ごくたまに……。


「あのっ」


「あのさ」


「な、なに?」


「いや、綾こそ……」


「「…………」」


……っていうのはあったけど。




そうしてる間に、我が家に到着する……。


「お、お邪魔します……」


「お、おう……いらっしゃい」


母さんに挨拶をしてから、俺の部屋に入った。


「えっと……」


……どうすればいいんだ?

いきなり押し倒す?

いや、それは良くない。

ムード作りが大切だって言ってたな……。


隣に座る綾の肩を抱き寄せる……。


「あっ……んっ……」


なんでこんなに甘いのだろうか?

このまましてると、アレが出てしまうな。


「……触ってもいいか?」


「は、はぃ……」


セーラー服の中に手を入れ、ホックを外す。


「あっ……むぅ……手慣れてる……」


「手慣れてないから!いや、イメトレは……って言わせないでくれ……」


「ふふ、そうなんだ……可愛い」


そして……直に触れる。


「やぁ……」


……なんだ、これは?

え?柔らか……!

気持ちいい……!

ダメだ、これはダメだ。

魔性のおっぱいだ……!


「ちょっ……あの、冬馬君……!」


「す、すまん!」


いかん、夢中になってしまった。

これでは独りよがりになってしまう……!

俺!理性を保つんだ!総動員させろ!


「い、いやじゃないの……や、優しくしてください……」


……あっぶねー!!

今のセリフで、理性が飛ぶところだった……!


その後なんとか理性を保ちつつ、行為を進めていく……。




……そして……いよいよである。

アレをつけてっと……自然に着けれたかな?

アキが言ってたからな。

なんかアレをつける時に手間取ると、相手が冷めるとか。


ベットの上で、綾を見下ろす……。


「だ、大丈夫か……?」


「う、うん……」


「い、いくぞ……」


「あっ……イタッ……」


「あれ?こっちか……?」


「こ、怖い……あっ……」


……まだ、早かったか。

だが、このままでは俺が暴走してしまいそうだ……!


「綾、失礼する」


「ふえっ?」


「フン!!」


壁に向かって頭を打ち付ける!


「ひゃあ!?」


「すまん、びっくりさせた。だが、これで平気だ。今日は、ここまでにしておこう」


「ご、ごめんなさい!冬馬君が怖いとかじゃなくて……えっと違うの……でも、あの……」


「綾、わかってるから。泣きそうな顔しなくていい。なっ?俺は怒ってないから」


「……嫌いにならない……?めんどくさくない……?」


「そんなことで嫌いになるかよ。めんどくさくもない。そりゃ、したいが……そのためだけに付き合ってるわけじゃないしな。綾が好きだから付き合ってるんだし」


「と、冬馬君……わ、私も冬馬君好きなの……」


「ああ、それもわかってるさ。さて、とりあえず洋服を着てくれるか?ずっと見ていたいが、そういうわけにもいかんし」


……主に俺の下半身的に。


「冬馬君……でも、ソレ……」


「ああ、すまんな。こればかりは、俺の意思ではどうにもならないんだ。しばらくほっとけば治まるさ」


「で、ても……辛いんだよね……?」


「え?まあ……そうだな」


「あ、あのね……!そのままでいてね……!」


「綾……?いや、それは……!」


俺のアレが、綾の胸に挟まれる……!





……なんだ?アレは?

気持ち良すぎるだろ……。

我慢するのに必死だった……。


「ど、どうだったかな……?上手にできたかな……?」


「あぁ……ヤバかった。とてつもなく気持ちが良かった……」


「えへへ、良かったぁ。冬馬君ばっかりに負担かけちゃイヤだもん。私だって、冬馬君喜ばせたいもん」


……いかん、早く服を着させなくては。

そんな可愛いこと言われたら、俺のアレが復活してしまう……!




その後お互いに服を着て、何故か正座の状態になる。


「ご、ごめんな。ベタベタするよな……」


「う、ううん!大丈夫!直接はかかってないから……何言ってんだろ……私」


「俺こそ……動転してるな……うん、今日は帰るとしようか。もうそろそろ、真里奈が帰ってくるだろうし」


「か、帰るね!顔合わせるの、なんか恥ずかしいし……」


「俺もだよ。どんな顔してりゃいいんだろう?」


「ふふ、そうだよね。私は帰るだけだけど、冬馬君はそうはいかないもんね」


「……良かった、笑ってくれた」


「え……?」


「いや、なんでもない」

 

失敗したことを自分のせいだと思って、気にしてたら悪いからな。

俺がきちんとリードできなかったからだろうし。


「あ、あのね……冬馬君が彼氏で、私幸せです……あの……最後にキスしてくれますか……?」


「ああ、お安い御用さ」


綾に優しくキスをする。

愛情を込めて、気にしなくて良いんだよと伝わるように……。


「えへへ、冬馬君の……優しい気持ちが伝わってきたよ?」


……うん、俺よく耐えた。


この笑顔が崩れることの方が……俺には耐えられないから。








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