第44回 この注射を事務所で寝ている間に打つぞ
卑弥呼とイチャイチャしている(勘違い)のを見られて、一匹のモンスターの目を覚ましてしまった。
「おい、私の卑弥呼様を返せ。
なんで、こんな奴がいいかわからない。
イチャイチャしているところを見ていると、胃がむかむかしてくるわ。
マジで!!!」
ドスのきいた声で浜水は怒ってくるため、ついついやくざに問い詰められているのでないかと錯覚してしまう。
あの時は、卑弥呼に気を取られたせいで卑弥呼のみ忖度していたが、どうやら浜水の様子もしっかり見ないといけないようだ。
「すみません。卑弥呼さまを好きなようにしてください。抱いてもいいですし。
浜水様が好きなようにしてください。」
俺はすぐに頭をさげて、このやくざまがいの浜水に謝って、浜水の怒りを鎮めようとした。
しかし、俺はチャンスだと思った。
卑弥呼の依存先として、好感度、ASMR配信が中心であること、かわいいことなどから満点に近いと思われる。
依存先を、理・浜水のみにして、俺への依存度を少しずつ落としていけばいい。
つまり、2つのストレス要因が衝突して、俺のストレスはゼロになるという計算である。
今までは失敗しており、すべて最悪なケースになってきている。
だから、油断せずに忖度していこう。
「ちょっと待ってや。オラーーーーー!!!!
あんだけ、特別って言っておいて、すぐに、逃げるって
おんどれは、男として情けないぞ!!」
浜水のやくざのような怒鳴り声は廊下中に響き渡る。
ずーんと頭の中に音が響いており、頭が痛い。
「ただな。
お前を社会的、物理的に抹殺しても、いかんねん。
その方法で抹殺すると、卑弥呼様の中で、お前が神聖化されるリスクがあるからな。」
浜水はいきなり冷静になったためか、声が普通の大きさになっていた。
浜水の言っていることは、一理ある。
仏や神は存在していないため、人々にとって、心の中に神聖な物として刻まれている。
特別な人の死は人知に届かなく、神や仏と同様に神聖な物となりうる。
「そうか。コラボ配信で、卑弥呼様に嫌われろ。
そうしないと、この注射を事務所で寝ている間に打つぞ。」
目が血走った浜水は注射を取り出して、脅してきた。
「いやいや、毒薬注射したら、ばれるからね!!」
俺は焦りで、大声で突っ込んでしまった。
「はぁ~、何言ってるの?インスリンに決まっているじゃん。
ばかじゃないの。低血糖になって死ね。
仮にこの方法で死んでも、インスリンはタンパク質だからばれないから。」
狂気の瞳をニコッと笑わせて、これは冗談じゃないぞと浜水は威嚇してくる。
この反応やインスリンの入手経路を見ている感じ、ガチの医療従事者でまちがいないだろう。
こんな頭のおかしいやつに、医療を任せるな!!!!
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