第42回 新人の浜水ちゃんとコラボするんだけど、一緒にコラボしてほしい。

卑弥呼から、おそらく胃が破裂するであろうお願いをされようとしている。


 


「我さ、新人の浜水ちゃんとコラボするんだけど、一緒にコラボしてほしい。」


 


新人の浜水とは、


個人勢で、セミショートの銀髪20代のすこしクールな新人ナースである。


甘々ボイスが魅力でASMR配信は同時接続1000人と驚異的な数字をたたき出しており、


チャンネル登録者数は2万人と個人勢でその数字は感心する。


 


浜水の才能を見込んで、キラライブがキャラ設定や絵などをそのままにし、引き抜きしたわけだ。


 


「卑弥呼様、ガチ百合勢なんですよね。コラボ先を見つけるチャンスじゃないですか?」


 


俺は、卑弥呼様もセクシーボイスのASMR配信は最大の武器であり、同業者のサシコラボは数字的に悪い話ではないし、理とやっているみたいに百合百合しいこともできて、メリットしかないと思った。


 


「我、コミュ障だからさ。いきなり知らないかわいい子とだと、話せなくなる。


だからさ、慣れている君が仲介してくれると助かるんだよね。」


少し表情を赤らめて卑弥呼は、もじもじしながら話している。


 


どうやら、コミュ障であることを明かすことが恥ずかしいらしい。


小動物をかばいたくなるような可愛さがある卑弥呼に、ちょっときゅんとする自分に腹立たしい。


 


 


「慣れていると言うなら、理さんはどうですか?」


ぱっと閃いたことを言ってしまった。


 


「豆君さ、それは頭がおかしいよ。


いきなり、ことちゃんと絡ませるなんて、胃がやられるよ。


ことちゃんと絡んでいいのは、長年付き合っている我とか、頭のおかしい豆君ぐらいだよ。」


俺に対して呆れているため、卑弥呼はため息をつきながら答えた。


 


理といきなりコラボすることは、ストレスである。


それは賛成であり、俺が言ったことに関して、間違いであることは認めよう。


 


俺に、そんな頭のおかしいやつとコラボさせたのは、あんただからね。


しかも、俺まで頭おかしい子って言うなよ。


これだけは言いたいけど、言ったら首絞めであるため。言えない事実である。


 


 


「確かにそうですね。」


いろんな感情を押し堪えて、脳死状態で俺は賛成した。


 


「いい子だから、きっと変なことにならないよ」


卑弥呼はニコニコしながら、答えた。


 


どうしてだろうか。


そのセリフが、フラグでしかないと思うんだが。


何か変なことが起こる予兆だよね。


 


そんな思いを知らずに、背が小さくて、黒髪ポニーテールのスーツを着た可愛らしい女性が近づいてきた。


 


「卑弥呼様、今日もかわいいですね。」


ポニーテールの娘が、かなり重度なファンみたいに息を荒げながら話しかけてきた。


 


正直、圧が強くて怖くて、悪質なファンと一瞬考えた。


しかし、胸のあたりをよく見ていると関係者の用の名札をつけている。


おそらく、スーツを着ているため新人の社員さんかなと俺は思った。


 


気が付くと、卑弥呼は顔を赤らめて、俺の後ろに隠れてしまった。


こんな可愛らしい子に声かけられて、卑弥呼は恥ずかしいらしい。


 


 


って、どんだけコミュ障なんだよ。


俺の前では、首とか平気で絞めてくるのに。

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