第44話 シューラの説明

 僕とパリスさんが自室へ戻ると、後ろを着いてきたシューラさんも部屋に入ってきた。


「エルジュ君、ちょっと話を良いかな?」

 シューラさんが部屋にある椅子に腰かける。


 僕とパリスさんも椅子に座り同意する。


「クロスの事なんだが、副団長のクロスは、私の旦那なんだ。預言者の話では、まだ生きているみたいだが心配でね。クロスが捕まってしまった為にシルバニアン王国とロゴダイン帝国がもめる事になってしまったからね。」

 ロゴダイン帝国がシルバニアン王国の王国騎士を捕らえるのは、違法ではあるのだが、僕は原因を知らない。護衛任務中に捕らえられ、副団長の【剣聖】の天職目的だと聞いている。


「いくら天職が欲しいからって他国の騎士を襲うなんて、普通はしないだろう。もともとシルバニアン王国とロゴダイン帝国は、友好関係にあり、もめる必要も無かったからね。おそらく魔族が絡んでいるだろうね。」

 シューラさんが、深刻そうに話す。


 魔族か。確かダンジョンが成長仕切ったら、ダンジョンの消滅と共に産まれてくるらしい。人間が管理出来ていないダンジョンは、沢山ありそのダンジョンの消滅と共に魔族も産まれるのだ。


「魔族は人間に紛れて街に溶け込んでいて、友好的な魔族もいるが、悪い考えを持った魔族も、もちろんいる。その思想は、魔族こそ種の頂点だと言うものだからな。」

 魔族の強さは、ダンジョンの強さに比例していて、ダンジョンの階層が多いと強い魔人が産まれてくる。10階層程度の魔族は、一般人と変わらない力しかないのだ。


「シルバニアン王国にも魔族の人がいますが、皆友好的な人達ですよ。魔族と言っても見た目が人とは、違う方達もいるので、差別が生まれてしまいますがね。」

 パリスさんが言うには、人とは違う見た目、獣の様な見た目の魔族もいるらしい。


「クロスがいるのが、ロゴダイン帝国領のファービと呼ばれる街にいるみたいだ。ファービを納める貴族が変わってから、帝国からの意向と違った事をしている噂を聞いた事がある。その貴族が魔族に操られていると思われる。」


 クロスさん救出部隊の指揮官には、知らせている情報みたいだ。その貴族が操られているのか調査と、クロス以外に捕らわれている人の救出が騎士団の任務になるらしい。


 でもなぜ今になってわかったのかな?


「ロゴダイン帝国からシルバニアン王国へ依頼が来たんだよ。ファービの街がおかしいのは、ロゴダイン帝国も不安に思っているが、調査しても変化ないそうでね。よっぽど強い魔族がいるのだろうね。魅了を使うバンパイア種かもね。」


 人を操るバンパイア種なら、不正の証拠を出さない事もできるのだろう。



「そうですか。我々騎士団も気を付けないといけませんね。」


「そうだね。強い天職を持っている人を操れば、最強の兵隊が出来るからね。クロスが敵になったら、考えただけで嫌になるよ。」


【剣聖】の天職を持つクロスさんが、騎士団に襲いかかってくるのか。勝てるのか?


「そこで、エルジュ君にクロスを止めて欲しいんだよ。君なら骨折程度で、クロスを止められるだろうからね。他の騎士なら、殺して止めるか、逆にこっちが瀕死の重症になってしまうからね。」


 生きたままクロスさんを、止めるのか。出来るかな。


「はい。出来る事はやらせてもらいます。あと魅了って状態異常無効が効きますか?」

 僕は状態異常無効の魔物石を魔法袋から取り出す。これが有効ならありがたいからね。


「状態異常無効か。おそらく有効ですよ。作れるのですか?」

 パリスさんが聞いてくる。僕は頷いて答える。とりあえず40個位出来るので、作っておくか。



「それでは明後日よろしくね。」

 シューラさんが部屋から出て行った。


 シューラさんの旦那さんか。頑張ろう。


 僕は魔鉱石を作りながら少し気合いが入った。




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