第42話 呪い付与Lv3

 パリスさんが早足に進み、騎士団長の部屋に着いた。


「パリスです。入ります!」

 扉をドン!ドン!と叩き返事を待たずに開ける。


「おいおい!どうしたパリス。いまステータス鑑定の為にシューラを呼んだから待っていろ。」

 騎士団長グロースか呆れるように見てくる。


「そんな事より!こちらを!」

 パリスさんは、騎士団マークのキーホルダーを見せる。


「ほう?上手く出来るもんだな。それで子供の様にはしゃいでいるのか?」


「違います!呪い無効Lv4のキーホルダーですよ!」

 パリスさんは、顔を真っ赤にして叫ぶ。


 いやいや、僕の天職を叫ぶ様な事は止めてくれないかな。秘密の意味わかっているのかな?


「何?呪い無効Lv4!それは、何個ある!」


 僕は、合計6個のキーホルダーを見せる。


「そうか。なら6人か。一つは、クロスに使うとして、あと5人を選らばないとな。」

 グロースさんは、眉間にシワを寄せながら考えている。クロスとは、副団長の事だろう。


「いえ、何度でも効果は回復出来るので、大丈夫ですよ。」

 僕は、キーホルダーに魔力を込めれば回復できる。


「なに!何度でも!こんな天職反則だろ!」


 いや、知らないよ。説明が足りなかったのか、一度使ったら終わりだと思っていたみたいだ。


「それより早く、第一師団員で呪い無効を使いましょう。教会では、大金がかかっても確実ではありませんし、難癖つけてきますが、エルジュ殿なら大金を払っても惜しくありません!」

 パリスさんが話す。

 僕にお金を払うのか。ありがたいけど、騎士団から貰うのは、気が引けるな。だって税金だから。


 二人は、長々と討論している。僕は飽きてきたよ。


「話しはこれくらいにして、キーホルダーを使ってみましょうよ。」

 僕は、二人に話す。


「そうだな。パリス!話しは後だ、騎士団を呪いから解放するぞ!」


 グロースさんと共に、呪われた騎士団の元に向かって歩く。




「お前ら集合だ!」

 グロースさんは、騎士団に声をかける。

 ここは、騎士団達が剣の稽古をする、演習場だ。


「はい!」

 騎士団員20人が集まってくるが、返事したのは半分程で、口を開けているが、声が出ていない騎士もいる。


「呪いを受けている奴は、前に出ろ!」

 騎士達10人が前に出る。


「よし!まずはお前だ!この騎士団のマークを握ってみろ!」

 グロースさんは、男性騎士にキーホルダーを渡す。


「で、どうするんだ?」

 グロースさんが、僕の方を見て聞いてくる。


「魔力を込める様に握って見てください。」


 キーホルダー

 魔鉱石

 効果 呪い無効Lv4

 呪いを無効にする。

 効果時間 10分


 僕が言うと、男性騎士は、キーホルダーに魔力を込める。男性騎士の体が、一瞬紫色に光った。


「どうだ?」

 グロースさんが、言う。


「はい!あれ?声が出る!ありがとうございます!」

 男性騎士が頭を下げる。


「こいつらは、呪いの効果で、声が出なくなっているんだ。よし!次はお前だ。」

 グロースさんが、順々にキーホルダーで呪いを治していく。治してキーホルダーを離しても呪いは消えていたので、僕は安心した。解除じゃなく、無効だったから、キーホルダーを離したら、呪いが復活すると思ったが治って良かったな。


 呪いが治った騎士達は、グロース団長にお礼を言っている。僕はお礼を言われないが、能力を知られない様にしているからしょうがない。

 皆治って良かったな。


 騎士の中には、僕の事を真剣に見ている人もいるが、何も言わない。多分キーホルダーについて関係あると思っているんだろうな。


 グロースさんが、騎士達を解散させ、僕達は騎士団長の部屋に戻ってきた。


「団長どこ行ってたんですか?」


 部屋に行くと、スーツを着た金髪の女性が待っていた。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る