第36話 始動

「全員、その場から動くことを禁ずる」


 突如『トリトンの絶叫』を用いて乱入してきた男は、近くの女子生徒の首に切っ先を当てがいながら口端を持ち上げて告げた。


 一瞬、教室に静寂が降りるが、次第に生徒たちは各々疑問を口にする。


「……は?」

「え、なにこれ」

「どうなって……これ本当? それとも訓練?」


 一様に困惑の表情を見せる中、真っ先に動いたのは、剣を向けられていた少女本人だった。


「……どなたか存じませんが、ここが魔法学園であることをご理解なさっていないのでは?」


 静かに、冷酷な声で告げると同時、少女は向けられていた剣の切っ先を掴んで首から引きはがすと、そのまま後ろに転がるように距離を取った。


(ん~、いい状況判断)


 男は腕をまっすぐ伸ばした状態で切っ先を向けていた。

 当然力を入れることは難しく、簡単に引き剥がされる結果となった。


 少女の学内ランキングはそこまで高くはなかったはずだが、流石は魔法学園の生徒と言ったところか。女子生徒が距離を取ったのを皮切りに、バランスを崩した男にクラスメイト達が襲い掛かる。


 ギゼルやリゼリアは様子見の姿勢を見せているが、他の腕に覚えのある生徒たちが息の合った動きで男に飛び掛かり——。


『****************************************************************************************************————ッッッ!!』


 再び『トリトンの絶叫』が響き渡った。


 堪らず顔を顰める生徒たちの前に、先ほど同様巨大な男の顔が出現。


 その中から姿を現したのは、男たちと同じ軍服を身に纏った紳士然とした初老の男。髪をオールバックになでつけ、余裕を見せるように穏やかな表情を浮かべている。


「……っ!?」


 男を見て声にならない声を上げたのはリゼリアだった。

 深紅の髪を揺らし、引きつった表情で後退る。

 三組に置いて千司の次に戦闘能力の高い彼女が、まるで生娘のように震えあがっていた。


 しかし、初老の男はそんなリゼリアを無視して語る。


「皆さん、こんにちは。訳あって、こちらの魔法学園は我々が占拠させていただきます。大人しく言うことを聞いてくださるというのなら、皆さんの大切な命は繋ぎ止められ、未来は明るく輝き続けるでしょう」


 両手を広げ悠然と語る男に、一人の男子生徒が額に青筋を浮かべて吠えた。


「あぁ!? 魔法学園に手ぇ出すとか、テメェ馬鹿かよ!!」


 唾を吐きながら初老の男に肉迫する彼は、三組において千司、リゼリア、ギゼルに次ぐ実力者。学内ランキングは三十三位。上位の半数ほどを勇者が占めていることを考慮すれば、異世界全体で見ても上位に食い込む実力者だろう。


「待て、止めろッ!!」


 飛び出した彼にリゼリアが吼えるが、もう遅い。


 彼は目にも止まらぬ速さで教室を駆け抜けると、いくつものフェイントを織り交ぜながら男の背後に回り込み、その後頭部に容赦なく蹴りを放とうとして——。


「若者は元気があっていいですね、羨ましい限りです」


 次の瞬間、男子生徒は首をへし折られて息絶えた。


「……」


 何が起こったのか、誰も理解できず、ただ力なく首の折れた少年が崩れ落ちる中——初老の男は苦笑を浮かべた。


「おっと、つい殺してしまいました。ですが、まぁ実力差の程をお見せ出来たのでよしとしましょう。彼の死はきっと無駄ではなかったはずです。……ところで、先ほどの声はどこかで聞いたことがあるのですが……」


 そう言って男は首の折れた男子生徒を優しく地面に寝かせると、教室を見まわしてリゼリアを見つけ、懐かしそうに優しい笑みを浮かべた。


「おやおや、どこかで見た顔だと思えば、もしやウルスベア将軍のご息女ではありませんか? これはこれは、お久しぶりですね」

「……ッ」


 顔を引きつらせるリゼリアに、男は笑顔のまま続ける。


「ははっ、なら話が早い。貴女から皆さんに大人しくするようお伝え願えますかな? やはり敵から言われるよりも、お友達から諭された方が、皆様も納得してくださるかと思いまして」


 その言葉を受け、生徒たちの視線はリゼリアへ。

 いったいこの男は誰なのか、そしてどういう関係なのか。

 そんな疑問を、彼女の近くに居たギゼルが全員を代表するように彼女へと問いかける。


「り、リゼリア殿。貴女は彼を知っているのですか?」


 リゼリアは真っ青な顔のまま震え、唇を噛み締めながらゆっくりと首肯。

 怯えた目で老紳士を捉え、震えた声で吐き捨てた。


「か、彼の名前は、ジョン・エルドリッチ。——かつて、帝国最強の部隊を率いていた、掛け値なしの化物だ」


 彼女の言葉に気をよくしたのか初老の男——ジョン・エルドリッチは口端を持ち上げ頷きを返す。


「はい。ご紹介にあずかりました。ジョン・エルドリッチと申します。少々事情があり、我が部隊と共にこちらの学園を襲撃させて頂いております。皆さん、賢い選択をして、自らの未来を大切にすることを、私は推奨いたしますよ」



  §



 同時刻、二組。


 少年、大賀健斗は目の前に現れた複数の男女を睥睨しながら冷静に状況を分析していた。突如として奇怪な絶叫が鳴り響いたかと思えば、教壇に巨大な顔が出現——その中から彼らは現れた。


 そして一番手前に居た男が、最前列の席に座る男子生徒の首へと剣をあてがい告げた。


「全員、その場から動くことを禁ずる」


 大賀は直感した。彼らが学園を襲いに来たテロリストであると。

 同時に内心で吐き捨てる。


(アホか)


 と。


 状況を理解した大賀は冷静に多少の犠牲は仕方がないと判断。人質になっている男子生徒には悪いが、テロリストを制圧することが先決だと決断し、早速動き出そうとして——しかし、それよりも早く人質になっていた男子生徒が動いた。


 男子生徒は剣の切っ先を掴んで力任せに引き剥がすと、男のバランスを崩しながら素早く魔法の詠唱を開始。同時に拳を握って振りかぶると机を蹴り上げ目眩ましにしつつ、拳を突き出した。


「俺はランキング二十位だぞ? 舐められたものだ」


 学内ランキング二十位。

 上位二十人は王国の騎士として即採用しても構わないと言われる中の一人。そんなまさに強者中の強者の拳に——返ってきたのは呆れたようなため息だった。


「動くなと告げたのだがな」


 バランスを崩したふう・・を装っていた男がぼやくと同時、引きはがしたばかりの剣が勢いよく横に振るわれ——机もろとも男子生徒の首を切断、鮮血が降り注ぐ。


「……ばかな」


 それは誰の声だったか。

 だが、その場にいる全員、同じことを思っていただろう。


 引き延ばされた腕、重い剣。まず間違いなくあの状況から即座に切り返すことなど出来ない。一度引き剥がされていることから、最初は脱力し、急激に力を加えて振るったことまでわかるが、しかしそんな芸当なかなか出来ることではない。


 学園内でも可能なのは白金級勇者か、或いは学内ランキング一位のウィリアムぐらいなものである。


 結果として、追撃を掛けようとしていた生徒たちの動きが止まる。

 何しろ王国騎士に匹敵すると言われる、ランキング二十位の生徒が一瞬で殺害されたのだから。


 ——少年たちは知らない。

 そもそも、王国騎士に匹敵しようと勝てる相手ではないことを。


 何しろ目の前の男は王国騎士すら超える、世界最強と恐れられたジョン・エルドリッチの部隊の人間。戦術も戦闘技術も、そしてステータスに置いても、他の軍隊を圧倒できるほど、最強にして最恐の集団の一人なのだから。


 歴戦の戦士と、経験不足の学生との差が、分厚い壁の如くそこには存在していた。


「はぁ、殺してしまった。……まぁいいか」


 男は余裕の表情で剣の血を振って払い、次の生徒の首に切っ先を向ける。


「さて、今度こそ動くな」


 最初の時とは異なるぴりぴりした緊張感が教室を支配する。


 誰も動くことは出来ない。

 ランキングに名を連ねる生徒も、二組の上級勇者である猫屋敷たちも。


 圧倒的に格上の男に加えて、未だ実力不明の男女が数人。

 上級勇者が周りを気にせず戦えば勝てるかもしれないが、その場合何人の生徒が犠牲になるか分かったものではない。


 数ヶ月、同じ教室で過ごした今、そんなことが出来るほど非情にはなれなかった。


 ——ただ、一人を除いて。


「『クロノスタシス』」


 大賀はスキルを発動。

 クロノスタシス――大賀にとっての一秒と他者にとっての一秒を大きくずらすスキル。相手にとっては一瞬で大賀が移動したと感じる、まさに不意打ちに特化したスキルである。


 召喚された当初はステータスが足らずリニュに止められたが、成長した今なら——殺せる。


 目にも止まらぬ速さで剣を構える男へ肉迫し、容赦躊躇いなく喉仏を狙った大賀の突きは——しかし寸前で気付かれ回避。首の薄皮一枚を傷つける程度に終わる。


「何だとッ!?」

「チッ、大賀健斗か。知らなきゃ死んでたなぁ」


 その言葉から、大賀のスキルについて相手にバレていたことが分かる。

 おそらく他の勇者のスキルもバレているだろう。


 苛立たし気に舌打ちをした男は大賀を視界に捕らえながら一度大きく距離を取り——吠えた。


「大尉ッ!!」


 いきなりなんだと疑問を抱く間もなく――三度みたび『トリトンの絶叫』が鳴り響いた。


 直後、男の真横に先ほどの巨大な顔が出現し、その中から一人の少女が現れる。

 怯えた様子の彼女を見て——大賀は動きを止めた。


「……ッ、なっ!?」

「ふんっ、貴様が従順になると考えるほど我々は愚かではない。よって、人質の選別もさせていただく。……動くなよ、大賀健斗」


 そう言って男は少女の首根っこを掴んだ。


 荒々しい扱いに女子生徒の栗色の髪・・・・が揺れ、庇護欲をそそる童顔が悲痛に歪み、垂れ目の端から涙がこぼれる。小柄な体躯を震わせ、不釣り合いな豊満な胸をかき抱く彼女のことを——大賀が見間違うはずもなかった。


「……っ、なんでッ!」

「優勢に事を運ぶために、我々は何重にも策を用いる。この細い首をへし折られたくないのなら、大人しくすることだな」


 人質となった名前も知らない栗色の髪の少女。

 大賀が動きを止めるには十分な人質であった。



  §



「大尉ッ!!」


 唐突に二組の方から聞こえて来た声に呼応するように、エルドリッチは首から下げていた笛——『トリトンの絶叫』を吹き鳴らした。


「い、今のは?」

「部下の手伝いをしただけです。お気になさらないでください」


 顔を顰めながらも、何とか主導権を握ろうと試みるギゼルにエルドリッチは穏やかな笑みを浮かべて答えた。因みにリゼリアはすでに戦意喪失し、俯いたまま膝を抱えて丸くなっている。


「……それで、エルドリッチ殿。貴方たちの目的は何なのか、お伺いしてもよろしいでしょうか」

「そうですね、強いて言うならおつかい、でしょうか? この学園にはいろいろと必要な物がありましてね」

「必要な物?」

「ふふふっ、それが何かまでは教えることは出来ませんよ」


 何とかエルドリッチと会話を続けるギゼルを教室の後方から睥睨しつつ、千司は思考を巡らせる。


(さてと、ここまでは順調だな。さっきの声から察するに大賀も止められただろ)


 『トリトンの絶叫』を用いての学内侵入に加え、千司が持ち出した勇者の情報と、不安要素である大賀の対処法。ここまでは全て千司とエルドリッチのシナリオ通りである。


(んじゃ、まぁ、そろそろ俺の目的を果たすとするか)


 千司がエルドリッチ達を動かして学校を襲わせたのにはいくつか理由がある。


 学園自体に用があったのもそうだし、勇者をぶち殺すチャンスでもあるし、何より学園にテロリストという状況が面白そうだと思ったのもある。


 が、何よりの目的は、ただ一つ。


「新色さん。あの男、ジョン・エルドリッチのステータスを見てください。おそらくあれが敵の大将……そこから敵の戦力を推測します」

「わ、わかった」


 千司の目的。

 それ即ち、海端新色分析者の前に、ジョン・エルドリッチを引きずり出すこと。


(正直に言ってあいつのことはよくわからない。ステータスがどの程度なのか、レベル、職業、スキル他諸々。これで俺やアリアの方が上だとわかれば本格的に主従関係に持ち込むことが出来るだろう)


 ただ、疑問点があるとすれば、人質となっている彼の妻と娘。

 エルドリッチは二人のことを心配しているそぶりを見せるが、しかし普段の様子を見れば家族など欠片も気にしていないようにも見える。


 事実、心配すること・・・・・・忘れている・・・・・時もある。


(これで何かしら分かればいいが……)


 などと考えていると、分析を終えた新色が小さく悲鳴を上げて千司に抱き着いてきた。


「ど、どうしました?」


 まさかそれほどステータスに開きがあったのか、などと思いつつ優しい声色で尋ねると、彼女はゆっくりと小さな声で、震えながら答えるのだった。


「あ、あの人……ま、『魔族』だ」

「……」


 一瞬何を言われたのか分からなかった。

 千司はゆっくりと言葉の意味を紐解き、飲み込んで、脳で処理を行い——理解。


(マジ~!? 何だよ、マブダチじゃ~ん!)


 瞬間、千司のテンションは最高潮に達した。

 こんな行幸、あっていいのかと。


 しかしすぐに『偽装』で冷静を装うと、新色に囁く。


「詳しいステータスは後で聞きますが、今はとにかくパニックになるといけません。誰にも言わないでくださいね」

「わ、わかった」


 小さく首肯を返すのを見届けてから千司は思考。

 元々はここで言葉を挟むつもりはなかったが、予定を少し変更することにした。


 千司は警戒を『偽装』して顔に張り付けながら、ギゼルとエルドリッチの会話に割り込んだ。


「……それで、結局のところ俺たちはどうしたらいいんだ?」

「……」


 そのを聴き、エルドリッチの動きが一瞬止まる。


 そして視線がぶつかり合い、エルドリッチは理解。


 奈倉千司が、ドミトリーであると。

 同時に、エルドリッチが魔族であることを千司が知ったことを。


 一秒にも満たない小さなラグ。

 彼はすぐにこほんと咳ばらいを入れると不快そうに眉を歪めながら答えた。


「いやはや、会話に割り込むなど何と無礼な……ですが、ふむ。どうやら貴方は勇者のようだ。他の世界の者なら、この世界の礼節を知らぬのもまた当然。今回だけですよ、奈倉千司」

「黙れよ、敵に無礼も何もないだろうが。それにさっきの笛の音——お前、夕凪を殺した奴らの仲間だろうが」

「確かにそうですね。それで、どうされますか? 今すぐ私を殺しますか? 多少レベルが高いとはいえ銅級程度に後れを取るつもりはありませんが。それが分かっているからこそ、貴方も我々の言う通りに動くことを選んだのでは?」

「……」


 千司が黙ったのを見て、エルドリッチは笑みを浮かべながら言葉を続ける。


「さて、それでは彼の言う通り、我々が皆さんに望むことをお伝えします。——全員『闘技場』に移動し、大人しくしていなさい。それだけです」

「……何故、闘技場に?」


 疑問を返したのはギゼル。

 千司では感情的になり過ぎてダメだと判断したのだろう。


「我々としては大人しくしていただけるのならどこでも構わないのですが……何でも闘技場は『致命傷にならない魔法』がかかっているのだとか。そこなら皆さんも安心でしょう?」

「……わかり、ました」


 渋々と首肯を返すギゼルに、笑みを返すエルドリッチ。

 彼の部下が指示を出し、三組の生徒が席から立ち上がろうとした——まさにその瞬間。


「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 獣の雄叫びの様な絶叫を上げながら窓を破り、銀髪の剣聖が教室に乱入してきた。


 彼女の顔や服には血がべったりと付着し、その両手はかつてダンジョンで襲撃された時のように竜化・・

 加えて、片手に四つずつ——計八つの人間の生首を握っていた。


「ジョンッ、エルドリッチィィイイイイイイイッッ!!」

「おっと、これはこれは竜人族の剣聖様ではありませんか!! いやはや、優秀な部下を八人も向かわせたというのに……おやおや、これまた無残な姿に変貌させられて、惨いことをなさる!!」


 煽り散らかすエルドリッチを横目に、リニュは教室を見渡す。


 そして千司を見つけると安心したように頬を綻ばせた。


「センジッ! ……よかった」

「はははっ! 報告通りだ!! 真っ先にこのクラスに突撃してくるなんて——そんなに奈倉千司が恋しいのですかぁ!? 剣聖よ!! まるで哀れな少女のようではありませんか!!」

「黙れッ!! ……お前ら、アタシが来たからにはもう大丈夫だからな」

「もう隠す気も無いのですか!? その言い方ではまるで、他の生徒は奈倉千司のついでのようだ!! 可哀想に!! 差別は良くありませんよ、差別は!!」

「クソがッ!! ふざけるのも大概にしろよ、帝国の老骨がッ!!」

「ふざけてなどおりませんよ、リニュ・ペストリクゼン!! 私はただ事実を申し上げているに過ぎない!! おーい、奈倉千司!! お前はこの女をちゃんと抱いてあげたのですか!? これほど貴方に恋い焦がれてるのだから、相手してやらないと可哀想ではありませんかァ!! ははははっ!!」


 愉悦に顔を歪ませるエルドリッチに対し、怒りや羞恥で感情をぐちゃぐちゃに揺さぶられるリニュ。


 しかし彼女はエルドリッチの足元で息絶えた生徒の亡骸を見ると、唇を噛み切り、全ての感情を殺意で塗りつぶす。


「ぶっ殺す」

「それは困ります。なので——」


 次の瞬間、エルドリッチは『トリトンの絶叫』を吹き鳴らす。


『****************************************************************************************************————ッッッ!!』


 耳を劈く悲鳴に顔を顰めるのと同時、リニュとエルドリッチが巨大な顔に飲み込まれ——次の瞬間、窓の外、はるか上空より衝撃音。

 一瞬で転移したのだろう。


「……さて、大尉が彼女を引きとどめている間に、貴様らには大人しく闘技場に来てもらう。抵抗は推奨しない。そろそろ別動隊が校舎中に魔法陣を仕掛け終わった頃合いだ。従わぬというのなら、瓦礫の下に埋もれるがいい」


 どこまでも先を読んだような動きに、ギゼルたちは従うほかない。

 結局、リニュが来る前と状況が大きく変わることはなく、千司たちは闘技場へと向かった。



  §



 同時刻、カフェ。


「いひっ、いひひっ! あぁ、あぁぁっ♡ いい?♡ ころして、ねぇ、殺していいよね!?♡ おほっ、あへへぇ~♡」


 新色に呼び出されていた岸本と富田の前に、股を濡らした女が現れていた。

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