後輩アタック

「はい、それじゃオリエンテーション始めるね。」




と、言いながら担任はプリントを回す。


ちなみにうちの担任は学校一適当なことで有名なズボラ教師だったりする。




「えーっと、班わけは教師陣がやってくれてるから……、俺からは特にないかな。連絡事項も特になしと。んー、去年もやってるから分かると思うし説明は省きます。高校生らしく羽目を外し過ぎないように楽しく過ごしてねー。


それじゃ各班の教室に解散。」




一見ちゃんとしたことを言ってるように聞こえるが各教室で設けられた担任による説明の時間は十五分である。それをこの教師は三十秒で終わらせた訳だ……。尊敬に値する。




俺はどこの教室に移動するのかプリントに目をやろうとして──────何者かに防がれた。




「だーれだ?」


「え、だれ……?」


「嘘だろ?お前……。さっき友達になったばかりじゃないかよ。」


「ああ、隅川か。」


「おう、隅川だ。ほら、何ボサっとしてんだよ。行くぞ?」


「へ?」




どこへ?




「なんだ、その顔。」


「いや、どこに行くのかなーって……」


「んあー?センセーが言ってたろ?各班ごとに移動だって。早く行かねーと他の班員にも迷惑かけちゃうから行くぞ。」




そう言って隅川は俺の手首を掴んで引っ張って行く。 ヤダ、イケメン!!


いかん、男相手にすこしときめいてしまった。


はっ!俺はそんな趣味はないはず!




「……、一人でなにしてんの?二十面相ごっこ?」




どうやらガッツリ見られていたらしい。


俺は歩きながらさっき隅川に聞きそびれたことを聞く。




「いや、なんでもない。


あ、それより聞きたいことあったんだ。


なんで俺に、俺を友達にしようと思ったの?」


「んー、俺って友達いないんだってさっき言ったろ?」


「とてもそんな風には見えないけど」


「ま、こんな感じで喋っているからな。でも入学したての頃ちょっとな、」


「やらかしたの?」


「やらかさねーよ」




じゃあなんだと言うんだ?




「中学校からの顔の広さを使って情報屋をやろうとしたんだ。ただでジュースとか貰えると思って。」


「浅はかとしか言いようがないな。でも友達居ないってことは失敗したんだね……」


「おいおい可哀想な人を見る目で俺を見るなよ?成功も成功、大成功だったさ。


でもな、友達が居ないのは……、」




隅川はたっぷりと溜めて次の言葉を発する。




「──────知りすぎたからだ。」


「へ?」


「いやな?情報屋ってことでいろいろ情報を集めて集めて集めまくったんだよ。そしたら学校中の女子のスリーサイズと男子の中学生の時の黒歴史を知ってることがバレて、あいつはヤバイやつだって誰も近ずいて来なくなった」


「それは隅川が馬鹿なだけだと思うよ?なんでバレたの?」


「うるせー、馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだよ。バレた理由?ノート落とした。」


「やっぱ馬鹿じゃん」




どうしよう。さっきまで心の中では初友達が出来たことで浮かれまくってたのに、今や少しだけ後悔してしまっている。




「で、なんで俺なんかと友達に?」


「ノリが良くて面白かったから。友達になるのにそんな大層な理由は要らんだろ?」


「でも俺は─────」




孤児院にいたんだぞと言いかけた時だった。




「孤児院にいたんだろ?それが元で中学校とかで虐められてたのも知ってる。情報屋舐めんな?てかそんなつまらん理由でお前みたいな面白いやつをほっとく方が勿体ないだろ?だなら、な?改めて俺と友達になろうぜ?」


「そうかぁ、友達か。」


「おいおいどうしたよ?今度はニヤニヤしだしたぞ?」


「いや、俺も高校で初友達だからな。嬉しかったんだよ。これからこれからよろしく。親友」


「おう!任せとけ親友!!」




やっと、やっとだ。やっと俺にも友達が出来た。先生見てるか?俺ようやく友達が出来たんだ。あんなに虐められてたのに……。


はぁ、陽姫。本当に君には感謝しないとだな。


君のおかげで友達が出来たよ。昼休みにでも報告するよ。どんな顔するか楽しみだなぁ。




と、俺がそんなことを考えていると。




「おい、陽太。着いたぞ。いつまでぼーっとしてんだ?」


「ん?ここは?」


「一年棟のB組教室。俺らの班の集合場所な?」


「ああ、ここだったんだ。」


「おう、分かったらとっとと入れ。早くエアコンに当たりたい。」




隅川が俺に扉を開けさせようとする。


そんぐらい自分でやれよなーとか思いつつドアを開けると




「せんぱーい!!!!!!」


「ぐふぉー!!!!」




思いっきり溝内に陽姫が頭突きをかましてくる。そんな俺をみて隅川はニヤニヤしながら




「うん、お前の彼女の教室だからな。嫌な予感はしてたんだ。まぁ、扉を開けさせたことは謝るよ!すまんかったな!!」


「お前、絶対わざとだろ……。あと彼女じゃないから。」


「はいはい、そういうことにしとくよ……。」




と、まだニヤニヤしている隅川を見ながら俺はヤッパコイツと友達になるのはやめよっかなーとおもうのであった。

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