訴え


 男がはっきりした声で言った。



「私はこの男を訴えたいと思いまして、法廷にやってまいりました」



 検察官が不思議そうな顔をしてその男にこう言った。



「訴えるといってもあなたは今回の事件で何の被害も受けていないじゃありませんか? 被告の泥棒はあなたの家の向こう三軒両隣に侵入し窃盗を働きましたがあなたの家には押し入っていませんよ」



 男は憤然とした態度で言い返した。



「だからこそ、泥棒野郎を訴えるのですよ、侮辱罪で!!」



「……?!」





             END

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