第25話 ミカエルとエルフィン 第4章 イマージュ ①
その日、ミカエルはエルフィンにある映像を見せた。
「今、この星で人気のあるシンガーなんだ。
踊りもうまい。
イマージュという名前で、この時代の地球の若者に圧倒的な人気がある」
エルフィンはしばらく黙って、映像を見ていたのだが、そんなエルフィンにミカエルは言った。
「彼は君の母うえに、とても良く似ている」
なおも無言でじっと映像を見つめるエルフィンに、ミカエルはこらえきれないように、言った。
「私は彼が、ルカの転生した姿ではないかと思ってる」
「お母さまに似ているのは確かだけれど、僕は8歳までのルカしか知らないから、
何とも言えない」
「この地球は、我々の星とは対をなす、平行世界で、実験場でもある。
だからこの世界で起ったことは、我々の世界でも起こりうることであり、
我々の宇宙に差し迫った危機はこの世界からあ生み出されたのかもしれない」
「それは変だろう?
この星系は、我々の星系よりもずっと後に誕生した」
「意識がエネルギーとなったとき、意識は時を超える可能性が無いとはいえないと思う」と、ミカエルはエルフィンにはっきりとそう言った。
「イマージュの映像を見ていると、時々、幼い頃のルカの泣き顔か重なるんだ。
大人になったルカが、どこかで泣いているような気がして、しかたがない」
とも、ミカエルは言った。
「やはり初恋は、忘れられない。
あんなひどいフラれ方をしてもね」
と、ミカエルはエルフィンに苦笑いしながら言った。
「ところで、君とハンネスはどういう関係なんだ?
恋人同士だという、噂もあるが・・・?」
その問いに対して、エルフィンは何も答えなかった。
答えようが、なかった。
ハンネスはエルフィンにとって、特別な人ではあったが、エルフィンは自分のことを、たぶんずっと未分化のままだろうと思っていた。だから友人以上ではあっても、ふたりは永遠に恋人未満のままでいるしかないのだった。
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