言い方気にする人は面倒くさい/かつての区別

 少し様子を見てるけれど一向に顔を上げる気配が無いわね…

「話、続けてもいい?それとも今日は止めにする?」





 …あ、顔は下向いたままだけど手でOKサインを作った。なら続きを話しても良いのかしら?

「んー…じゃあ、少しだけ話を逸らすわね。実はレネゲイド災害には大きく分けて二つに大別することが出来るの。なんだかわかるかしら?」

 少し迷ったけれどショックを受けている人にいきなり話の本筋に戻るのは流石に酷だ。そう思って、本筋から離れた質問をしてみたけれど…大丈夫かしら?

頭を抱えるばかりの俊浩だったが、流石に(一応)上司からの話だということもあって答えを考え、そして口に出す。

「…被害の大きさでしょうか?レネゲイド災害には現状はそこまで被害の規模が大きくても、後々の被害のことを考え、先んじてレネゲイド災害に認定することがあると聞いたことがあります」

 成程々々、確かにそういう予防的な意味合いでのレネゲイド災害認定もある。なんなら私が臨時的にR災対隊長をやってた時にもそういった形のレネゲイド災害認定したことあるし。けれど、そういった分け方じゃないのよねー。まぁ、それを言ってしまえば今から言う分け方も正式には公式な奴じゃないのだけれど…

そもそも、今でもこの分け方を使ってるのって、それこそレネゲイド災害繫忙期の生き残りとか、上層の一部の方がたまに使う程度だものねぇ。

「良い線言ってるけれど違うわね。正解を言うとレネゲイド災害の発生に何らかの意思が絡んでるかどうか…ううん、この言い方だと少し違うわね。えっとなんて言えばいいかな」

 どうしよう、急にちゃんとした言い方が頭から抜けた…俊浩の名前と言い、今日は何かを忘れてしまうことが多い気が…

「…黒幕がいるかどうかって感じですかね?」

「いや身も蓋もない言い方するわね…間違いない言い方ではあるけれども」

 俊浩のその発言に苦笑いを浮かべる。

 本心では寧ろ助かったのだけれど…でもこういった失敗って表に出すと恥ずかしいから…馬鹿みたいなプライドなのは重々承知してるわよ。

 それにしても、今までの様子を見てると俊浩は上下関係やしがらみなんかを気にせずにガンガン喋る子なのよね。だから私自身、あまり言葉を気にせず喋ることが出来るのだけど。

 でも、流石に黒幕いる系レネゲイド災害といない系レネゲイド災害というのは字面がかっこよく無いから…

「その名前は流石にあんまりだから自然発生型と人為的発生型で分けさせてもらうわね?」

 こんな感じで手を打たせてもらおうかしら。

 確か、昔もこんな感じの名前だったはずだから。


—纏め—(という名の用語解説)

自然発生型レネゲイド災害…別名:NO(Natural Occurrence)型レネゲイド災害。その発生に関して特定生物の意図が絡んでいないと思われるものを指す。発生の原因が生物であっても、その生物が意図していない場合はこちらに含まれる。本当の意味合いでの災害に近く、抜本的除去自体が出来ないものすら存在する。レネゲイド災害繫忙期の事例だと『大海に陣取りしモビィ・ディック』や『終わらぬ白昼夜』が該当する。

人為発生型レネゲイド災害…別名:AO(Artificial Occurrence)型レネゲイド災害。自然発生型と違って発生に特定の生物の意図が絡んでいるものを指す。一応特定生物と幅広くとっているが大抵人間が悪い。意図が絡んでいるために、特定の指向性を持って、人を襲うこともある。抜本的除去などで災害の消滅が出来ることが多い。レネゲイド災害繫忙期の事例だと『季節外れのクネヒト・ループレヒト』や『人繰る大雷霆』が該当する。

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