R災対日常会話~レネゲイド災害繫忙期ってなんですか?~

@hukurotoji_com

新人の好奇心に巻き込まれることってありますよね/記録は逃れられぬ刻印

「——レネゲイド災害繫忙期?」

 私…レゲネイド災害緊急対応班マルコ班継承遂行部門である霧絵 藤(きりえ ふじ)は、そのマルコ班の休憩室での突然の話題に少しばかり面食らった。

「はい、レゲネイド災害繫忙期について教えて欲しいんです」

 そう聞いてきたのは先月レネゲイド災害緊急対応班マルコ班に入って来た新入りだった。名前は、ええと…えっと?

首をかしげる私に、その男は慌てて自分の紹介をする

「あ、すいません!私は胡 俊浩(コ シュンハオ)と言います。先月付でこのレネゲイド災害緊急対応班マルコ班に所属になりました。ブリードはクロスでブラッグドッグ、オルクス。所属部門はラファエルです。えっと…よろしくお願い…いたします?」

「あ、いや、固くならなくていいですよ?それで、レネゲイド災害繫忙期についても話せばいいのかしら?」

あぁ、そうそう。そんな名前だった。…私、記憶力落ちてるのだろうか?最近の若者の流行りについても良く分かっていないし…

「でも、何で急にその時代の話を?」


 レネゲイド災害繫忙期と言う名前自体はレネゲイド災害緊急対応班の中では有名だ。読んで字の如くレネゲイド災害が世界中で活発化していた時代。災害が災害を呼んでいる、なんて揶揄されていた時代。…色んな人が命を散らし、私が生き残る必要が生まれた時期。まぁ、そんな危ない時期だから、噂ばかりが先行して案外その実態や詳細を知らないという人は多い。俊浩もそんな一人だろう。


 俊浩は言葉を紡ぐ。

「レネゲイド災害繫忙期…今の所は一回しか起こっていないじゃないですか。でも、それが本当に一回しか起こらないとは限らない。だから、当時のことを知っている人から話を聞いて何らかの発生の手掛かり…でいいんでしょうか?それが、掴めたらいいなぁ…と思って聞こうかなって…」

 どうやらこの新入りは真面目な性格らしい。

 当然、こんな仕事に就く上ではある程度の誠実さは欲しいのだけれど、真面目も過ぎればそれこそ、当時のあの子達みたいに早くに命を散らしかねない…大丈夫かしら?

「という名目で、本当の所は単に昔話を藤先輩に聞いてみたくなったのです」

 前言撤回、今回の新入りはどうやら大分お茶目な性格のよう。ま、まぁこのくらい気楽に構えている人の方が案外こういった仕事に向いているでしょう。うん。


 まぁ、確かにこの手の昔話であればマルコ班の中では私が適任ではある。レネゲイド災害緊急対応班設立当初から部隊に在籍していて、今もなお次期隊長の任命の際の許可印の発行や新隊長への任務や心意気のアドバイスを行う継承遂行係の私なら…現隊長よりもこういった歴史に詳しいのは道理なのだから。


「まぁそういうことなら、分かりました」

 そういって私は立ち上がって、一度部屋を出ようとする。その様子に俊浩が慌てた声を出す。

「えっと、何処に行く気ですか?」

「あぁ、何も言わずに出ちゃうと確かに戸惑うわよね。いや、多分話は長くなりますし、飲み物でも取ってこようかなって。俊浩君も何か飲みたいものでもありますか?」

 取り敢えず私の分は緑茶にしましょう…地味に高価な奴を、こういうときだからこそ。


―纏め—(という名の用語解説)

レネゲイド災害…レネゲイドが原因として発生する被害の中でその程度や広がりが著しいもの。詳しくはサークル真銀の庭様が出しているエレウシスの秘儀をチェックだ!!

レネゲイド災害緊急対応班…名の通り「レネゲイド災害の全体的な対応」の為に作られている部隊。「マタイ」「マルコ」「ルカ」「ヨハネ」の四班が現存している。良く聞く略称はR災対。詳しくはサークル真銀の庭様が出しているエレウシスの秘儀を(略

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