自由に、小説にしてみよう! 主催者・ヘパさま

宇宙人が来ちゃった! 地球の運命が決まる一日

決められたテーマで小説書いてみよう企画〔主催者・へパさま〕

【あらすじ課題】

「約束してたのに、友達がこなくて。連絡したら、スマホの電波を、間違って受信した宇宙人が降りてきた。友達に、ドタキャンされたから、そのまま、宇宙人と1日、過ごした」



《どうして、約束した場所に来ないの? もう、約束の時間とっくに過ぎているよ》

 あたしは、ショッピングの約束をした女友だちに怒りの言葉を送った。

 直接、電話をしても良かったけれど。声を聞いた途端に怒ってしまいそうだったから。


 少し間が空いて、あたしのスマホに返信が届いた。

(アレ? 送信者の名前が表示されない? なにかのミスかな?)


 受信した言葉には。

《イマ、ドコニイル?》

 それだけ書いてあった。

(バカにしているの! カタカナで返してきて)

 あたしは、自分が今いる場所と「早く来て」と送信した。

《ワカッタ、スグイク》

 直後に、疾風が吹いて。人々が空を指差して騒ぎはじめた。

 あたしが、頭上を見上げると銀色に輝く円盤の底部が見えた。

 円盤から光りの筋が、あたしの近くに伸びてきて。

 光りの中を、深海生物の『コウモリダコ』みたいな生物が、ゆっくりと降りてくるのが見えた。

 あたしの近くに着地した、生物は地球のコウモリダコとは一つだけ違う箇所があった。

 円盤から降りてきた生物には、一つ目が付いていた。

 一つ目をグルグル動かしながら、その生物が言った。

「ワレワレハ、宇宙人ダ……シュゴス星人ダ、来テヤッタゾ」

 話しを聞いてみると、シュゴス星人には、固有名称はなく……すべてのシュゴス星人が『シュゴス』と名乗っているらしい。

 シュゴちゃんが言った。

「今、オマエノ頭ノ中ヲ……高速で読ミとって、言語分析ヲしている……もう少ししたラ、スムーズな会話ができルようになるダろう」

 シュゴちゃんの話しだと。今日一日、地球人を観察して地球人が狂暴で宇宙に悪影響を及ぼす生物だと判断したら、滅亡させるつもりだったらしい。


「おまえが発した電波が誤って、我々の円盤が受信してしまった……こうなったからには、今日一日おまえと行動を共にして、地球人の行く末を決める。我々の観察時間を奪ったおまえに拒否権はない」

 地球人の未来は、あたしの行動に委ねられた。


 あたしは、シュゴちゃんを自宅に連れ帰った。

 シュゴちゃんは好奇心旺盛で、いろいろと聞いてきた。

「この隠すように入っていた繊維で作ったモノはなんだ? 地球人が体につける下着と言うのか? おまえも、この下着というモノを身に着けているのか? ちょっと見せてみろ」

 あたしは、スカートをめくられて水色縞柄の下着を、シュゴちゃんに見られても人類のために我慢した。


 一日が過ぎて、シュゴちゃんが地球人を観察した結果を、円盤に報告送信する時がきた。

 あたしが作った、おにぎりを食べながら、ご飯粒を体につけたシュゴちゃんが言った。

「地球人を観察した結果、いろいろとムカつくコトもあるが……わざわざ、握ってくれた『おにぎり』が美味しかったので今回は、地球人を絶滅させるのは保留にしよう」

 人類の滅亡を回避できた、あたしは嬉しさのあまりシュゴス星人をギュッとハグした。

「シュゴちゃん、ありがとう! 大好き♪」

 ムギュゥゥゥ

 抱き締められて、嬉しそうなシュゴちゃんの声が聞こえてきた。


「や、やめろ! そんなに強く抱き締めるな……シュゴス星人の体は、デリケートで……く、苦しい、わたしの生命活動が消えたら円盤に、信号が届いて……グェェェ!」

 夢中で抱き締めたシュゴちゃんの体が膨張して、パンっという破裂音が聞こえ。

 シュゴちゃんの血肉があたしの顔や胸に付着する。

 生臭い内臓の臭い、部屋に飛び散った宇宙生物の体液。

 シュゴちゃんの皮には軟骨らしいモノが残っていた。

「破裂しちゃった……シュゴちゃん死んじゃった!?」


 シュゴちゃんの生命活動消失を受信した、円盤は宇宙から次々集結して大群になって。

 人類への攻撃を開始した。

《危険! 危険! 人類は狂暴で危険な存在》

 円盤群から、地上に向かってイナズマのような光線が発射され、人間が築き上げた文明の建造物が次々と破壊されていく。

 あたしは、家の外でパニックになっている人たちの悲鳴や絶叫を遮断するように窓を閉めると。


 現実逃避で、何も見なかった聞かなかったコトにして、イヤホンを耳の穴に差すと。

好きな音楽を大音量で聞いた。

(見てない、見てない、悲鳴なんて聞こえない……全部夢よ、今日は一日なにも無かった……部屋から一歩も外に出なかった、ずっと部屋にいた日)

 あたしは、そのまま……なにもかも忘れて寝た。


 ~おわり~

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