第17話 笹倉源蔵の平日定例会/笹倉茜は企みたい(笹倉源蔵・茜視点)
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美麗と陸夜がカラオケにいっていたときのこと。某所では、笹倉グループ関係者が顔を並べる平日定例会が開催されていた。笹倉グループのトップ、笹倉源蔵をはじめ、たくさんの子会社のトップがそろう。
「源蔵さん。せっかくの定例会ですのに、雨に降られるなんて、非常に残念なものですね」
笹倉グループの御三家、
「晃司くん、私は天気などで気持ちが沈むようなことは滅多にない。抗いようのないことに文句をいうほど、器の小さい人間ではないから安心したまえ」
「失礼しました、源蔵さん」
「わかってくれればいいんだ。それでは、本日も平日定例会を開始しよう。今日は私の家の優秀な運転手に、話をしてもらおう。入りたまえ、椀台くん」
ノックののち、ドアが開く。
「笹倉家にて運転手をさせていただいています、ONEカーズ創業者の椀台操と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします」
拍手ののち、ある中年男は問いかけた。
「なるほどね、笹倉さんが肩入れしている運転手さんが。今日は一体何をはなしてくれるのかね。立場でいえば、たかが運転手といったところだろう。言葉は悪いが、所詮自社の宣伝じゃないのかな」
「いいえ、今回は雨宮グループの件でお話が」
「ほう、雨宮グループね。あそこをどう弱体化させるか、何かいい戦略が思いついたとでも?」
「はい。私の運営するONEカーズが、雨宮グループ屈指の自動車会『Amamiya』と連携し、ゆくゆくは買収まで持っていこうかと」
買収だと、と役員たちは騒ぎ出した。
「どういうことなんだ、椀台くん」
「それは────」
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最近のわたくしって、ちょっと意地悪ではないかと思っておりますの。 美麗が義理の妹となってはや数年経ちますが、あの女だけは気に入りませんわ。茜はそう思いますの。
財閥と一切交流がなかった癖に、私の婚約を間接的に破棄させたんですもの。光一さんってキザでイカしてる素晴らしいお方なのに、美麗は愚痴ばかり漏らされます。
私の気持ちも知らずに、よくそんな芸当ができますのね。精神をズタボロにするくらい暴言を吐いていますが、まだまだノックアウトしそうにありません。もっと嫌がらせしないと、美麗さんは自分が調子に乗っていると気づかないのでしょうか。
ここまでやっているのにも関わらず、直近の数ヶ月は生き生きとしておりますの。なんて図太いのでしょう。お方なのでしょうか。気が知れませんわ。
私だけ惨めな思いばかり。ああ、ほんと腹立たしいです。心の底からいなくなってほしいものです。
アハハハハハハ。笑えませんの。さて、次は何からはじめましょうか。
美麗。もう一生笑えないようにしてあげるから、しばしお待ちください。
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