ナナ、テレビに出る!?(4)
田中先生は、6畳くらいの部屋のセットに案内され。そこには数台の定点カメラが設置され、ドアが1つあるだけ。部屋の中は、田中先生が座るソファーだけが部屋の中央にある。
この時、ナナの入ったキャリーバッグには、超小型無線機が仕込まれているが、声が漏れないように特殊な吸音素材が内部に縫いつけてある。
ナナの入ったキャリーバッグは、定点カメラに映らないようにソファーの右側に置き。田中先生は、ソファーの中央に座った
すると、番組デレクターの飼い猫がこの部屋に入り、本番が始まった。
「リリーちゃん、ごめんね、こんなところに連れて来て」
「誰? 人間の言葉で私に話しかけるのは?」
「どうして、ご主人を嫌うの?」
リリーは、ご主人を嫌っている訳ではない。最近、ご主人はリリーに向かって愚痴ばかり言うようになり。リリーは、ご主人のはけ口になっていた。
主人が仕事にかこつけて、娘の進路に真剣に話を聞いてくれない。その愚痴をリリーに聞いてもらっていた。リリーは、聞きたくない愚痴を聞かされ、嫌気がさしていた。たまの愚痴ならいい、毎日は本当に勘弁してよと言いたい。
カウセリングは終わり。ナナは、リリーに約束した、愚痴を言わないように。
すると、リリーは嬉しそうに喜んでいた。
診断結果は、リリーを愚痴のはけ口にしない。番組デレクターは、診断結果の詳細を知り。まさか、妻がリリーに愚痴を言っていたなんて思わなかった。しかし、そんなことまでわかるとは、リリーに申し訳ないことをした。娘にも妻にも申し訳ない。帰ったら妻と娘に謝る、と言っていた。
このあと、怪しまれていたかはわからないが、ナナのことはバレなかった。1週間後、田中先生が出演したコーナーは、朝のニュースで10分ほど放送され。この放送がきっかけで、カウセリング予約は今以上に増えてしまった。
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