動物カウンセリングの開設(7)
10月20日。本日から、2階の予備室1と予備室2が、KルームとK事務室用にリフォームが始まる。
工事期間は3日間で、動物たちの迷惑がかからないように、なるべく音を立てずに作業をするように指示され。朝一番で当病院に入り、リフォーム会社の社長自ら指揮を執り、小声で作業員に指示をし、数名作業員たちはいつになく緊張している様子だった。
その間、工事作業員が当院内を移動するため、当院内の改善リフォームを理由にお詫びの張り紙が張り出され、ホームページにも記載れていた。
作業は順調に進み、Kルームの壁には防音シートが張れ、カウセリングの内容が漏れないようにし。ここには窓がないため、換気機能付きのエアコンを完備。床はクッションフロアに張り替え。猫、犬たちにやさしい床材を使用。
この6畳の部屋には、あたかも自分の家にいるような空間として、ナナと田中先生が座るソファーとローテーブル置き。テーブル前には、患者の猫、犬たちが座る。但し、暴れたりする危険性のある場合のみ、ケージを使う。
隣の部屋、同じ6畳の部屋のK事務室にも同様に、壁には防音シートを張り、ナナと田中先生の会話が漏れないようにし。ここも窓がないため、換気機能付きのエアコンを完備。床はクッションフロアに張り替えるが、そこに畳1畳を敷き、ナナ用の特注のこたつを置くことになっている。
その他にも、ナナ専用の小さな机に、田中先生の机と椅子。そして、2人専用ソファーも置き。電子レンジと小さな冷蔵庫も備え。2人は、ここで昼食を撮ることになっている。ナナが言うには、その方がなんか落ち着くし、畳もあると。
あと、この部屋の壁にはナナ専用の出入口がつけられ、Kルームにもつながっている。
しかし、ここは2階の関係者立ち入り禁止フロフロア。防音設備をする必要があるのか、相当な念の入れようだった。
3日後、予定通りにKルームとK事務室が完成した。ただ、完成まではブルシートが張られ誰もリフォーム後を知らない。
そんな中、思っていたデザイン通りに完成しているのか、あの2人はドキドキしている。まもなく、お披露目が始まる。
2人は、完成した2つ部屋の前に来ている。しかし、肝心のドアプレートがないことに気づいた。
すると、隣にいた鈴の手には2枚のドアプレートが。
鈴は、田中先生に2枚のドアプレート渡し。どうやら、ここがあなたたちの新しい職場、しっかりがんばりなさいと言うことだった。
田中先生の手にはドアプレート。その重みを感じていた田中先生の足元にはナナがいる。
鈴はナナを抱え、田中先生はドアプレートを2つの部屋にはめ込んだ。
その時、周りいた数名の従業員たちが拍手をし、田中先生とナナは、ドアプレートを見ながら身の引き締まる思いで、田中先生は、Kルームの引き戸を開け、中に入ると。
新築だ、という匂いがし、足もとにはナナもいる。壁は木の壁、床は板材風のクッションフロア。入って右端中央には、2人用ソファーとクッションが置いてあり。その前には、木の香りのするローテーブル。このテーブルの前に患者が座る。
実際に見ると、余りにもシンプルで少し狭い気もするが、猫・犬たちにちょうどいいかもしれないと思う2人。
ソファーの後ろには仕切り版が置かれ、ナナ専用のトイレがあり。また仕切り版が置かれ。そこには、隣のK事務室に行けるナナ専用の出入り口。後ろを振り返ると、仕切り版で囲って患者用トイレもある。
ナナは、隣のK事務室に行く出入り口に近づくと、ドアが勝手に開き。これが噂の自動ドアなの、とつぶやき、K事務室に入ると。
新築だ、という匂いを知らないナナ。左側には、ナナ専用の机、木の香りのするローテーブル風で。机上には、16インチのバソコン用液晶モニター。そして、どでかいナナ専用キーボードとUSBパッドが置いてあった。
このパソコンを使い、事務処理を手伝ったり、自由に使えるパソコン。
ナナの机の左側には、小さな冷蔵庫とその上には電子レンジ。その隣には、田中先生の机と椅子が置いてあり。その隣は、この部屋に出入りする引き戸。
その左側には、2人用ソファーにクッションが置いてあり。その前に、木の香りのするローテーブル。そして、ローテーブルの奥には、畳1畳分を横向きにして敷き、畳の上にはこたつが敷かれ。この6畳の部屋に窮屈そうに詰め込んでいるが、うまいことパズルのように配置してあった。
これであとは、カウンセリングの開設の日を待つだけとなり。ナナは、人間を相手にカウセリングの練習をやってきたせいか、人間なら不安も緊張もない。ただ、猫、犬たちを相手に練習ができない状況で、少し不安になっていた。果たして、ちゃんとできるのか。
かえって人間のカウセリングの方がいいかもしれない。しかし、そういう訳にもいかない、ナナの能力バレてしまう。いや、その前に趣旨が変わってしまう。
猫、犬たちを相手に練習がしたいが相手がいない。従業員たちに協力を求めるが、私生活を覗かれてしまうと警戒している。では、猫を1匹飼っている田中先生なら。いきなりごめんなさいと言われ、何かを隠している様子だった。
そんな中、ナナは、私って、猫を知っているようで知らないのかも。猫との付き合いの記憶があまりなく、というか思い出せない。ネットでいろんな動画を見て参考にしたり、動物に関する資料を読んだり、知識だけが豊富になっていき。いよいよ、明日は11月13日、カウセリング初日。
ちょっと不安だが私にしかできない仕事。やるっきゃないでしょうと言う想いで、ナナは床の間の隅に置いてある猫用座布団の上には小さな毛布が敷かれ、そこに潜り込み眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます