動物カウンセリングの開設(4)
田中先生は、極秘画像を見て驚いていた。まるで人間の脳を見ているようで、臓器類も超一級品で、全てが世界一の要素をもった猫だけど。いったいどうやって、誰がこんなことを。ナナは絶対に渡さない、絶対にこの人間を許してはおけない。見つけ出し罰してもらいたい、これ以上は考えたくない。そんな想いを打ち消すように、ナナのいる院長室へ行った。
ナナはソファーの上で熟睡中と思いきや、ドアのノック音で起きてしまった。
「院長、今何時でしょうか?」
鈴は、デスクでパソコンのモニターを見ながら作業をしていた。
「もうすぐ4時よ」
「そうなの? なんかよく眠ったような気分だけど……あっ、先輩、お疲れ様です。メールどうでした?」
「大丈夫、信じてもらえたみたいよ」
「そう、よかった。これであの動物たちも一安心ね」
「そうだね……。さてと、続きやりますか!?」
その時、鈴は椅子から立ち上がり、タブレットPCを持ち。
「田中さん、ちょっと待ってくれる?」
「はい、なんでしょうか?」
鈴は田中先生のところに行き、2人はソファーに座り。
「実は、カウセリングの開設のことで、細かいところを打ち合わせしておきたいの、いいかな?」
「はい、大丈夫ですけど」
「ナナもお願いね」
「はい、わかりました」
鈴は、タブレットPCをテーブルに置き。カウセリングの開設にあたって細かい打ち合わせが始まった。
カウセリングを受ける患者は、基本どうしても猫と犬になってしまう。分け隔てなく、ナナと会話できる当病院の扱える動物たちに限って基本全部見ること。
カウセリングが必要な患者の診察営業時間は、午前の部、午前9時30分~午後0時30分。午後の部、午後4時~午後6時までとする。但し、午後7時までとなっている診察営業時間内があるため、やむを得ない場合は臨機応変に対応すること。いくらナナが普通猫と違い、体が丈夫にできていたとしも、くれぐれもナナの体調に合わせること。無理はしないこと。
当病院では、基本、患者にはキャリーバックに入れて来院してもらう。患者を連れて2階に上がる際は、飼い主が付き添うわけではないで注意し、気をくばること。
そこで、中型犬、大型犬については、ケージを使う場合の時は、より慎重に接すること。そして、暴れたり、騒いだりする患者は、飼い主に見つからないように、ナナに対応してもらい、話せば落ち着かせることができるはず。最悪の場合、手がつけられない場合は、診断結果の内容によって、後日来院してもらう場合もある。
この点は、一旦、飼い主を待合室に戻しあと、ナナに診察室に入ってもらい対応してもらう。ちょっと面倒だけど、2階のK事務室でキャリーバッグにナナが入り、田中さんが持ち、1階の診察室まで来てもらう。
これから、カウセリングの事務室兼休憩室のことは、K事務室とし。カウセリングルームは、Kルームとする。
実際、カウセリングを行うのは、ナナと田中さん。ということで、現場サイドの声を優先とし。最終的には、カウセリングやり方や方針については2人に任せ。基本中の基本である、患者を第1に考え、ナナあってのカウセリングだということを忘れないように。なるべくナナの発言を優先すること。但し、問題が生じた場合は、基本2人で考え対処し。どうしょうもない場合は、院長に報告すること。
尚、カウセリングの開設にあたって、データ化し、共有するためシステム化をする。それについて、15日間でカウセリングシステムを開発し、運用まで間に合わせること。これについては、副院長を交えて打ち合わせするように。
このあと、10分ほどで3人の打ち合わせが終わり。要は、ナナと田中に任せるということ。但し、全ての責任は鈴が負うと言っていた。
この時、田中先生は、ふとこんなことを思い。このことに鈴も頭を悩ませていた。
現時点でナナの能力は世間には公表されていない、ということはどうことなのか。研究者、犯人の目的はなんなのか。記憶を失ったナナを悲しませ、苦しめたくはないと2人は思っていた。
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